思考する機械 コンピュータ
arton さんが「文庫になったよ」「いい本だよ」と言われていたのでリストに入れておいた。いつもはずいぶんとたたないと買わないのだけれど、たまたま早い時期に買うことになったのだった。で、ゆっくり読もうと思ったのだけれど、気づいたら読み終えてしまった。うん、面白い。というか、いい本だなあと。
「プログラムはどうして動くのか」とか類似の本の場合は割りと実際的なことであったり、さもなくば例え話的なものをもってきてイメージさせようとしたりだったりなのだけれど、この本は違う。コンピュータに考えさせる、処理させるということはどういうことなのかという論理的なところを、いわば回路の設計といったところから書いている。それだけに、なるほどその本質がいかにシンプルなものなのか、そのシンプルなものの組み合わせでさまざまな処理というものができるのだなあということが理解できるように書かれている。
回路やプログラムのことを概観してからは、チューリングマシンであるとかアルゴリズムの話であるとか、並列コンピュータ、学習するコンピュータなどなど広範な話題についても考察していてなかなか興味はつきない。
さらには工学的なアプローチの次にも目を向けていて終わるあたりがなんとも心憎い。
実際的な話というのはあまりないというべきなのかもしれないけれど、こうした切り口の本というのは確かになかったように思うので新鮮でもあり、これまで以上になるほどとコンピュータの基本的なところへの理解が深まるようには思う。
一般向けとはかならずしも言えないけれど、コンピュータに関わる人であれば読んでおいて損はない一冊なのかもしれないなとは。
たとえば、データの伝送スピードは、ナノセカンド( 10 億分の 1 秒)あたり約 30 センチメートル移動できる光の速度を超えられない。そして(原稿執筆時点での)最高速コンピュータのサイクルタイムはほぼナノセカンドになっている。
(P.187)
正誤:
現在知られている最高速のアルゴリズムはの2nオーダーである。
(P.145)
s/アルゴリズムはの/アルゴリズムは/ ?
![]() | 文庫 思考する機械コンピュータ (草思社文庫) ダニエル ヒリス W.Daniel Hillis 草思社 2014-06-03 by G-Tools |
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