秘密(トップ・シークレット)
「秘密」というテレビアニメを順次配信していたので見た。清水玲子原作というので気になったのもあるし、なにより脳に記憶された映像を自在に見ることができる技術(MRI)が完成して、それを犯罪捜査に利用するという突拍子もない発想がなんとも気になったのもある。
事件の被害者の脳を遺族らの承諾をえて摘出し、それを MRI 装置にかけると過去から死ぬ間際までに見ていたものが映像として再現される。もちろん倫理的な問題もあるので捜査に適用するかどうかは一応倫理委員会みたいなものがあって、そこにお伺いをたてた上でさらに遺族の了承を得てという手順を踏む。
犯人を見ていればこれほど確実なことはないなと思うものの、そう簡単にはいかないというあたりがなかなかうまいつくりだし、必ずしも記憶領域のすべてが無事であるとはいえないとか、ビデオレコーダーとは違い意識による記憶の捏造とでもいう現象もあるであろうというあたりもなかなか面白い。
はじめは小さないってみればささいな事件だったりしたのが次第に大きな陰謀に発展していくあたりは、少々こりすぎかと思わないでもなかったし、実際それがきちんと最終的に消化されたのかというとやや疑問は残ってしまう。
とはいえ突拍子もない発想から生まれた捜査手法をうまく利用した物語のつくりはなかなかよくてついつい最後まで見てしまう。当初はその絵柄が原作の清水玲子のそれとはややかけ離れたものであることに違和感もあったりしたのだけれど、それも途中からはさほど気にならなくなった。慣れたといってしまえばそれまでではあるものの、物語が十分に魅力的だったからかもしれない。もちろん、アニメ化に際して必ずしも原作通りのキャラクター造詣にならないのは十分承知の上のこと。
ただ、後半において部内における不穏な行動や事態の背景の描き方はやや物足りないところはあって、最終的なその理由についてはちょっとお粗末すぎるのではないかという印象も強く、そのあたりはあるいは原作とはまったく違うオリジナルだったのではなかろうかとも思う。未読ではあるものの清水玲子であればそんな稚拙な設定で終わらせるとはちょっと考えにくい。
終盤になって次々と捜査員を殺害していってしまったりというのもなんだかもったいない感じがしてしまう。
もしも現実の犯罪捜査に使えるような日がくるとしたら、絶大な効果を生みそうな期待もある一方で、やはり被害者の知られなくてもよい記憶があからさまにされてしまう(いくら捜査員の中だけの秘密とされるとしても)というのは、少々恐ろしい未来ではあるなとも。そうして、そうした多数の秘密を抱え込むことになる捜査員は作中でも描かれたように心を壊していってしまうことにもなりかねないのだろうなと。
いろいろな意味でスゴイなと思わせてくれる作品だったのは間違いないかな。
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