レオノラという人
E テレ「地球ドラマチック」でユダヤ人生徒を守るために学校を作った教師の話。
ナチスの締め付けが厳しくなってきて教育現場でも「ハイル・ヒットラー」が叫ばれるようになり、拒否する者や古い古い過去まで調べ上げてユダヤ人だとされると迫害を受けるようになる。教育とは名ばかりになってもはやナチス礼賛、ユダヤ蔑視を教え込む場になりさがる。
このままいけば生徒はもちろんユダヤ人の将来は非常に暗澹たるもの。そうして教師、レオノラ・ゴールドシュミットもまたユダヤ人であることを理由に教職を解かれてしまう。生徒を守るにはどうしたらよいのかと考えてレオノラがとった行動がユダヤ人生徒のための学校をつくること。
しかし、ユダヤ人教師は一度に 5 人の生徒しか教えてはいけないなどという決まりが作られており、ことはそう簡単ではなかったと。そこでいろいろ手を尽くしつつも起死回生の手段としてレオノラが考えたのが教師が集まれば生徒の数も増やせるということ。
学校設立は簡単ではなかったものの 5 人の教師が 25 人の生徒を教える学校を作ることができるようになった。校舎が問題だったが、たまたま親戚だかの遺産として古い立派なお屋敷を相続したのでそれを学校とすることになったのだとか。
これまでのナチスの学校よりもよほど立派できれいで、落ち着いた雰囲気のある学校での授業ができるようになった。
とはいえこのまま安穏としていることはできない。いずれユダヤ人はもっと迫害を受けるはず。生徒たちのためになにをなすべきか。まずは英語だ。ということでイギリス大使館にかけあってイギリス人教師ひとりを派遣してもらう。そうして生徒たちにはこの先この地を脱出したあとの生活を想起して学ぶことの大切さも教えていく。
ナチスのユダヤへの圧力はますます強まる。男を片端から逮捕するようになり、レオノラの夫もすぐに逃げるべきだという情報が伝わってくる。間一髪で官憲の手を逃れて脱出したが、家に残っていたおば(?)だったかの子供に官憲がたずねる。「どこに行ったのか」と。「学校だ」と答えるので学校へいくがいない。その時間かせぎもあって逃げおおせる。
ところが官憲はいないことに怒ってまた家に戻ってくる。そこでその子が言うには「あなたの娘は、いつでも父親がどこにいるのか知っているのですか?」と。返す言葉はなかったらしい。強い子だ。
続いてはユダヤ人学校を取り壊される動きが加速する。ユダヤ人の関係する建物がことごとく打ち壊されていくなか、なんとか学校を守ろうとするのだが、なかなか支援が整わない。そこでまたまたレオノラの機転が働く。イギリス大使館に打診して、派遣してもらっているイギリス人教師に学校を譲渡することにする。イギリス人の持ち物を壊すとなれば、それは国際問題となるがよいのかという押し。間一髪で学校は焼却からまぬかれる。
しかし、時代はますます混沌としてもはや逃げ出すことはほとんど不可能になり、子供たちだけはというイギリスの船で多くの子供が脱出。なかには親も一緒にという例もあったらしいが、多くの親は逃げ出すことはかなわなかったらしい。
そうしてレオノラの教育によって生かされた生徒たちがのちのち教師になったり、それぞれの役割をはたし、さまざまな活動で活躍してきたとか。
こんな勇敢な女性がいたのだなあと、いたく感動したのだった。
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