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Dear フランキー

 夫の暴力から逃れるために祖母と幼い息子と三人で住処を点々とするリジー。ただ、息子には父親は船に乗っているのでなかなか会えないのだと話している。そうして私書箱を通じて手紙のやりとりをして、父親のふりをして息子に返事を書いている。

 ところが新しく暮らしはじめた町であろうことか父親が乗っていることにしていた仮の名前の船が実在し、さらにはこの町の港に寄港する予定だということがわかる。さて、どうしたものか。

 知人を頼って寄港中に父親のふりをしてもらう男性を紹介してもらうことにし、これまでの手紙なども読んでもらう。久しぶりの父と子の対面ということで、その日はふたりで自由に過ごしてもらうことにしたのだが、心配でいてもたってもいられないリジー。ずっとふたりのあとをつけて様子をうかがっている。

 さいわい何事もなく楽しそうに過ごしたふたり。家に戻ると意外な発言が男からある。「明日もう一日過ごせないか」と。しかも家族三人水入らずで、と。

 はじめは約束が違うと拒否していたリジー。けれど男の申し出を受けて、翌日三人で過ごす。ひと時の家族ごっこ。けれど、いつしかそれはこれまで失っていた、忘れていた家族の時間を思い出させるような。わずかの時間なのに次第に彼にひかれている自分に気づいたり。

 けれど男はきちんと約束通りにその日を境に姿を消す。そして今度は逃げてきた夫の姉から連絡が。夫が病でもう長くないのでひと目会ってほしいというのだった。病室を訪れるとはじめこそしおらしい様子だったものの、しだいに本音をだして「父親なのだから息子に会う権利がある」と怒鳴りちらしだし、リジーに襲いかからんばかりの剣幕。

 結局息子には絵を描かせてそれを重篤になった夫の病室に届けたものの、息子を会わせることは最後までしなかった。そうして、息子には父親はそのまま死んだのだと伝える。

 もはや息子からの手紙はないはずと私書箱を訪れるリジー。「手紙がきていますよ」と渡される。そこには大人のうそなどすっかり見破っている息子の優しい言葉が書かれている。

 物語はそれでおわり。

 下手な映画であれば、きっと父親役を演じた男と一緒になって暮らす場面でも描くのだろうけれど、そうした余計なものは一切ない。実際どうなったのかをうかがい知るものもない。けれど、そんな余分は観客の想像のなかにあればよいのかもしれない。そこまでが、そこまでですべて語りつくしているともいえる。

 家族というこの不可思議なものについて考えさせてくれる佳品としてなかなかすばらしいなと、見終えたあとに余韻にひたるのだった。

B000KQGM06Dearフランキー [DVD]
アンドレア・ギブ
ハピネット 2007-02-09

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