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乾隆帝は遠くなりにけり

 NHK スペシャルで「故宮」を見る。一回目はいかにしてそれを守ってきたかという苦難の歴史などを扱ったもので、二回目のほうはその宝物を紹介しつつという感じ。

 ひとまずは二回目のほう。乾隆帝(けんりゅうてい)が紹介されて、この王様はすごいなあと。支配を広げていくにつれて多種多様な民族を抱えるようになっても、それぞれの文化というものをちゃんと理解してそれを尊重するという姿勢で貫かれていたと。だからこそそうした地域もそれにしたがっていたし、抑圧されたりして反乱を起こすというようなこともなかった様子。

 翻って現在の中国共産党。漢民族の優位ばかり保とうとして少数民族を抑圧することを異としない。だから反感を買って抵抗されるのだろうなと。中国というのは長い歴史を大事にしてきた国ではなかったのかなあと、その駄目さ加減を思ってしまった。

 それに関わる宝物として四家全書(しかぜんしょ)というのが紹介されていて、まあ通常はとても目にすることなどできないらしいのだけれど、浅田次郎さんが番組として見せてもらって感動していた。広い広い部屋にずらりとならんだ書棚すべてに納められている本すべてがそれという壮大さ。ありとあらゆる書物を集めて書写せよというプロジェクトだったそうで。

 相手の文化を蔑視せず認め、よいところはきちんと学ぶという姿勢は立派なものだなと。

 造型の極致はやはり象牙多層球なのだろうな。象牙を削って作った球形の中にさらに球が掘り込まれていてそれが 11 層だかになっているとか。それぞれがちゃんと独立した球になっているというのが驚き。どうやって作ったのかと思ったらドイツにその技が残っていたということで再現していた。もっとも、それはごくあっさりしたものでしかなく、宝物であるそれの微細に施された透かし彫りとは比べ物にならない簡素なものでしかなかったが。

 もっとも今ならさながら 3D プリンターで簡単に作れてしまうのだろうなというのは、いささか寂しい限りかも。

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