花のあと
剣の腕がめっぽうたって本当であればそれを生かして出世したかったものの、家柄のこともあってそれはあきらめてお勤めに励んだ男に生まれたのが女の子。正直がっかりしたものの剣の相手をさせてみたらこれがなかなか筋がよい。鍛えてみたら男子にも劣らない腕前となり、いつしかあちこちの道場で名を上げるほどに。
そんなとある春。その娘以登(いと)がお供を連れて花見をしていると、ひとりの若い武士と出会うと。先日不在にしておりましたおりに道場にこられたとか、いずれぜひお手合わせをという話でその場は終わる。月日がたってようよう手合わせの機会をもうけるが、以登の家でということ。いろいろの対面などもあってだが、実のところその武士 孫四郎には縁談があり、こちらはこちらで以登の許婚が長きの江戸暮らしというような事情も。
なかなかの立会いなれどわずかの差で孫四郎に及ばない。当然、ひそかな恋心がお互いに芽生えていて、刹那高まるものの、お互いそれを静かに隠しながら二度と会わないと心に思うわけだ。
そうこうして孫四郎は妻を向かえ、それがゆえに重要なお役を勤めることになり、慎重で勤勉であったにもかかわらず(あるいはそれがゆえに)江戸で不始末を働くこととなり、責任をとって切腹。ところが裏には孫四郎の妻(男好き)と藩の上役とができていて、孫四郎はわなにはめられたのだということが以登からの依頼で調べていた将来の婿殿の調べで明らかになってくる。
この婿殿が実にいい。ひょうひょうとしつつ狡猾。あおびょうたんの昼行灯のと揶揄されるのをかえってうまく立ち回り、探りをいれるにソツがない。
そして、いよいよ敵討ち。以登はひとりで迎え撃つのだが、当然相手は手下を連れてくる。間一髪敵を討ったところで婿殿登場。すべてわかって見守っていた。さらには後の始末は自分がつけるのでさっさと帰るようにと。そうそう好かれているわけではないということもわかりつつ、さりげなくちゃんと見ているあたり「惚れてまうやろ」というところ。
主演の北川景子もそう悪くはないし、これはなかなか楽しめる時代劇映画になったのではないかなと。一青窈の主題歌はちょっと好みに合わなかったのが残念。
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