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バベットの晩餐会

 映画化されたということだけはなんとなく覚えていたのだけれど、内容についてはあまり知らなかった。なにやら魔女的な誤解を受けるような話だとばかり思っていたのだけれど、間違いではないもののいささか違うものだった。

 デンマークのとある村でどうやら舟で行き来するくらいしか方法がない場所らしく、みな貧しくもつましい生活をしていると。宗教家の姉妹を狙っては若い男がやってきては求婚したらしいが、みな断られてしまい、姉妹は箱入り娘的に育っていくと。若い軍人がやってきて姉と恋仲になるけれど、わかれて帰っていく。妹には旅で訪れた歌手がその声にほれてレッスンをはじめるが、恋愛感情をつのらせた歌手に恐れをなしてレッスンもやめてしまう。

 いつしか姉妹の父親も世を去り、誕生日を祝う宴を開くことに。ある縁から姉妹のもとで召使として働くようになったバベットが宴の料理をフランス式に用意させてくれないかと申し出る。たまたま宝くじがあたったのでということもあったし、姉妹にとって彼女はたまたま召使という形を取ってはいたものの、親しい友のようなところもあったので申し出を受けると。

 その後食材の準備から戻ってきたバベットの持ち帰ったものは、うずらや海がめ、豚の頭などなど、それまで村では食べたことも見たこともないようなものばかり。きっとあれは魔女のしわざなのだと噂される。どうか皆、味わうことなどせずにひたすらに食べるだけにしておこうと約束する。

 そうして祝いの宴。かつて姉を恋したった男は立派な将軍となって宴に招かれる。見事なフランス料理に驚き、かつてどこそこで食べたあの料理にうりふたつだといったことを皆に話す。村人たちは料理の話はしないようにとするが、次第にその料理のおいしさに魅了されていく。

 そうして宴は終り、じつはバベットはフランスでも指折りのレストランのコックであったのだと自ら打ち明ける。レストランを営業できなくなった理由はすでに明かされているのだが、もはやフランスに帰ることなどできないが、恩を受けた人々にせっかく手には行った宝くじの当選金を使って自慢の料理を食べて欲しいと純粋に思ったのだった。

 異文化との出会いとか、貧しくとも忘れてはいけないものとか。食べるということの意味とか。なにやらいろいろ思わせられる作品。

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4480026010バベットの晩餐会 (ちくま文庫)
イサク ディーネセン Isak Dienesen
筑摩書房 1992-02

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 「Out of Africa」も良かった。

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アイザック・ディネーセン 横山 貞子
晶文社 1981-04-25

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