恋するショコラ
安い材料を使い、職人も素人同然みたいな人足を集め、手を抜けるところはとことん抜いて安く仕上げる。それが儲かる建築だという風に思っている若き建築会社の社長。ところがそうしてとことん手を抜いていたら現場で事故が起きてしまい、これが明るみになっては面倒なことになると怪我をした当人になんとか仕事中の事故ではないと言ってくれと頼む。これまでさんざん嫌な思いをしてきたので、ここぞとばかりに仕返しを考える作業員の男。その結果出されたのが、自分の代わりにチョコレート学校に生徒として行くということ。
エジプトだかからお菓子屋をやろうとやってきた作業員の男。資金がないので建築現場でアルバイト。たまたま 60 周年記念だかで行われる特別なチョコレート教室への参加ができることになっていた。ところが現場の事故で手が使えない状態になってしまった。しかし、これは二度とないチャンスなのでなんとしても参加したい。そこで、建築会社の若社長に代わりに出席するように要求。労働災害とわかってしまうと困るのでしぶしぶ承知し、立派なみなりではだめだとか髪型がダメだとかいろいろ仕込まれてエジプト人ぽくして参加する。
ところが 6 人ほどいる生徒はみなそれぞれにプロ。まがりなりにもチョコレート作りの経験はあるし、菓子作りの経験もある。ところが男はまったくの未経験なのに、一応菓子作りの経験があるはずの立場。なにをやってもうまくいかないが、それを教室で学びつつ建築現場での仕事も続けて疲れているせいだということにしてみるものの、だんだんと話がおかしくなってくる。
たまたま面倒をみてもらうことになった女性パティシエが勘違いをして建築の依頼主を悪徳社長だと思いこんだりする。嘘に嘘を重ねていくので男の立場もどんどん複雑になっていく。一方で、怪我をした作業員のもとにも通って学んだことを逐一教えなくてはならない約束も。「もう辞める」とかいうと、「事故のことを警察に話すぞ」と脅されて、またしぶしぶと教室に通う。
そうしていくうちにいつしかサポートしてくれる女性パティシエと親密になっていくが、とうとう彼の正体がばれてしまう。彼女との関係も近づいたり離れたり。いや、チョコレート作ろうよ。
ところがそうしているうちに男の建築に関する意識がすこしずつ変化していく。きちんとしたものを作るには最低限の費用というものは必要であるし、そこは削減してはならない一線であると。安くもするがきちんとしたものも作るべきなのだとチョコレート作りを学ぶうちに強く感じていくようになる。
そうして最後の卒業制作のコンテスト。怪我をした作業員が正規の生徒として登場するが、相変わらず手は使えないので彼がサポート役としてどうにか間に合って作業開始。そして最後の成績発表。彼女との関係は修復されるのか? といったお話。
映画の作品紹介では女性パティシエが主人公の話みたいに書かれているが、実際は逆で、教室に通うはめになってしまう建築会社社長の男が主人公。まあ邦題の「恋するショコラ」くらいはまだましだけれど、どうしてそうなるのか。原題はイタリア語で「チョコレート教室」といったところらしい。
甘すぎないまずまず楽しめるチョコレート映画。
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