360
正直よくわからない映画だった。いや、わかる。わかるのだけれど、それでだからどうなの? という。
貧しい人や裕福な人、犯罪を犯した人すれすれで生きている人、男も女も老いも若きも。いろいろの人が次々と登場しては物語が引き継がれていくといった感じの作品。はじめは娼婦としてデビューするしか一家を支える手段がない女性が登場して、はじめての仕事にホテルに向かうがたまたま相手がすっぽかしてしまう。代わりにサービスを受けた男が本当の客の名前を聞き出してしまったら、実はそれが商談相手だったのでゆすってみようということになる。
その男の妻は浮気をしていたが分かれようとしていて、その浮気相手と一緒にいた女は嫌気がさして故郷に戻るといって出て行ってしまっている。その女は空港で悪天候のため足止めされており、そこで子供が行方不明になったままの男性と出会う。身元不明の遺体が発見されると確認のために各地を転々としているのだという。
なんとなく意気投合し、どうせ飛行機もでないのだからと食事を一緒にどうかという話になるが、手続きが混雑していて男は遅れてしまう。先にまとうとしていた女はたまたま別の男と一緒になる。実は性犯罪をおかして服役しており、カウンセリングなどを受けて今社会復帰のための訓練をしている男。迎えがあるはずだったのだがまだきておらずなんとか自制しているが、女性と一緒にいることはあまりうれしくない。自分が抑えられなくなるのではないかと不安なのだ。
あろうことか女は彼が気に入ってしまい(恋人と別れてきたという腹いせのようなものもあったかもしれない)、男をホテルの部屋に連れ込んでしまうが、男はなんとか思いとどまり部屋を出る。
遺体確認にやってきた男は子供ではなかったことを確認したあとに、なにかのサークルのようなところに参加。アメリカなどにはよくある断酒会みたいな感じのもの。自分の体験を話してみせる。
そんなふうにして次から次へと人はつながっていくが、特に関係があるということではなく、それぞれの物語がちょっとずつ展開していく。悪くいえば出来すぎでもあり、それによってどうという物語があるわけではないので、だからどうなのだろう、とも思ってしまう。
そうこうして物語はまた娼婦として働きはじめた女性のところに戻ってくる。仕事のときにはいつも一緒にいる妹。荷物を持って外で待っているのだが、姉の客の運転手(客の運転手だとは知らない)とドライブに出てしまう。姉のほうは客の男が殺害される現場に遭遇して命からがら逃げてくる。そうして物語は終わる。
つまりはすべては円環をなしているというようなことを言いたいのかもしれない。タイトルが 360 なのも。けれど、やはりどうもいまひとつしっくりしないままの作品のような気がして、もやもやしたままになっているのだった。
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