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俯瞰

 [ NHKスペシャル|"災害ヘリ"映像は語る~知られざる大震災の記録~ ]

 震災の当日から数日間にわたって数多くのヘリコプターによって撮影された映像をもとに、震災のこれまで見えなかった面であったりを分析していたのがなかなか興味深かった。防災用や消防、警察、海上保安庁、自衛隊とさまざまな分野のヘリコプターがのべで数百機も飛び交っていて、その多くが映像をきちんと残している。その映像を分析してというのは時間のかかる作業だったのだろうなとも。

 津波第一波の様子がこれまでは知られていなくて(もちろん、田畑や家屋を飲み込んでいく先端部分の映像はあるが、その一波がいかにして上陸したのか、上陸しようとしていたのかは謎なままだった)それを知る貴重な映像があったり。まさに音もなく忍び寄る悪魔とでもいうようなひそやかな侵攻だった。

 津波がゆるやかに時間をかけて巨大になっていったためか海水面全体が広い範囲にわたって盛り上がった状態になっていて、まったく波頭を形成しないままに押し寄せた。そのため津波の存在に気づけないままに浸食がはじまり気がつけば海がすぐそこにやってきたという状況を作っていた。海岸で波頭を高く掲げて押し寄せる映像は、第二波以降のものだった。

 巨大な津波によってあらゆるものが押し流され、それが道路に集積される。家屋はもちろん燃えるもの。プロパンガスが流れ、ガスを流出させ、それが海水面に噴出する。プロパンガスは重いので海面で滞留し、あたり一面がガスの海状態。灯油もある。自動車があるからガソリンもある。ひとたびどこかで火の手があがれば、あたり一面火の海になるのは必定。

 あまりにも被害が広範囲であったがために多数のヘリコプターがやってきてくれてもそれを有効にさばくことが十分にできない状況になってしまった。止むをえず重複を恐れずに送るしかない状況も非常時ではやむをえないところ。とはいえ、今後そうしたことによって空白地帯を作ってしまうことを避けるにはどうすればよいのかという検証に役立てて欲しい。

 などなど現場の人のあまりにもショッキングな場面のために言葉を失う姿であったり、こんなときに撮影なんかしている暇ないだろうとかいうのではなく、それもまた大切な使命なのだということを三年たった今だからこそ切実に感じる番組だったような。

 もちろん、津波の映像は今でも正視に耐えないという人もあるだろうから、すべての人にすすめられるわけではないものの、今後の防災などに役立てるためにも多くの人が見ておくとよいのではないかなあと思った番組だった。

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コメント

本猫的には見なくて良かったかも…トラウマになっていますから。
翌12日に給油予定で残燃料心細い車でひたちなかの会社から破損した道路を迂回しつつ帰宅途中、0m地帯は津波で道路水浸し。偶然消防車が来たので先導して貰って大洗町へ渡る海門橋へ乗った所で第何波だかの津波が来て1,2分前走っていた道路は泥色の渦の中でした。
水無し、食料無し、電気無し、自衛隊の給水車も町の炊き出しも数日後になってからで、最初の2,3日は群馬の右翼団体が提供してくれたご飯一食だけしか口に出来ませんでした。
幸か不幸か会社周辺の放射線量が高いと言う事で暫く臨時休業になったので、水食料確保と部屋の片づけに専念できたので助かりましたが…

投稿: のら猫 | 2014.03.03 04:17

現場におられたのですか。となれば無理もありませんよね。

投稿: ムムリク | 2014.03.03 08:54

地鳴りと初期微動で咄嗟に速報サイト見て、震源宮城県沖M5以上とは確認したのですが…
照明消えたのはきがつきませんでしたがUPSの警報が鳴りだしたのでパソコン落とそうとした頃にはモニターが机から落ちてシャットダウン出来たのか判らず。
「パソコンはいいから、早く逃げろ!」と上司に言われたのですが、右は机の引出が出たり入ったり、左は二段重ねキャビネットの上が転げ落ちてきて通路無し、それ以前に揺れが激しくて立っている事もできませんでした。
あの日以前も、以後2年経っても、茨城では毎日5,6回は地震が起きていました。
長野に戻って何が良かったって、兎に角地震が全然無い事です。
http://mixi.jp/list_diary.pl?year=2011&month=3

投稿: のら猫 | 2014.03.04 04:06

ご無事でなによりでした><

投稿: ムムリク | 2014.03.04 09:28

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