コーランと沙漠と
井筒俊彦さんの生誕 100 年らしい。記念して全集の刊行も始まっているとか新聞の記事で知る。ほほうと思うもののさすがに全集にまでは手を出せない。まずは絶賛放置中の「コーラン」を読まなくては。
きっかけは成田美名子だった。「はるかな黄金(きん)の砂漠」という作品を読んで、そこに引用されているコーランの言葉がなんとも印象的だったのだった。もっともあいにくそれは井筒さん翻訳によるものではなかったようではあるのだけれど。
ちなみに「はるかな黄金の砂漠」というのは、未来からやってきた(少年のような)男が生き別れになった双子の兄を探しているという物語で、多分間違いないと思った相手がなかなかそうと認めない。いや、本人としてもそうした記憶を失っているとすれば認めるはずもないわけで。ふとしたことからふたりして時間を飛んでしまう事態に。
そこで出会ったのは兄と思う男の友人のずっと年老いた姿。結婚して彼らと同じくらいかという娘までいる。彼らふたりが時間を飛び越えてしまったところに引きずり込まれたのだったか、とにかくもその友人もその犠牲になり、彼らよりもずっと前の時間に行ってしまった。事情も分からず帰るすべもなく、つまり彼は砂漠の民として生きる決意をしたと。
そうしてどうやら磁気嵐の日にだけどうやら帰るための扉となる場所が開くらしいとわかり、ふたりはそこに向かうと。その事実を知りながら帰ろうとしなかった友人はすでにそこで生きる決意を固めていたと。そうしてどうにか戻ってくる彼ら。けれど、もしもその友人が過去に行くことがなくなれば、あの娘の存在も消えてしまうのでは? と迷うわけだが。
といった話。
で、以来なんとなくコーランをまともに読んでみたいなあ、などと思い入手しやすかった岩波文庫を入手。が、いかんせん1957 年頃の翻訳なので今となってはやや古めかしいところなども。ということでちょっとなかなか読み進めにくいところがあって中座したまま。といって買いなおすというのもなんなので、そろそろぼちぼちと読んでみたいとは。
昔のコミックス版では「2」の方に収録されていたのだけれど、さて文庫版はこれで全部なのか?
![]() | みき&ユーティ (白泉社文庫) 成田 美名子 白泉社 2001-03 by G-Tools |
![]() | コーラン 上 (岩波文庫 青 813-1) 井筒 俊彦 岩波書店 1957-11-25 by G-Tools |
このあたりから入るのがよいのかもしれない。
![]() | 『コーラン』を読む (岩波現代文庫) 井筒 俊彦 岩波書店 2013-02-16 by G-Tools |
このあたりも評判がよいのでチェックしておこう。
![]() | イスラーム哲学の原像 (岩波新書) 井筒 俊彦 岩波書店 1980-05-20 by G-Tools |
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