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日輪の遺産

 史実としてあったことなのか、そうだとしてどこまでが史実に忠実なのか、といったことは知らないままなのでそのあたりは置くとして、さすがの浅田次郎品質という感じの出来にまずは感嘆。見てはいないものの「鉄道員(ぽっぽや)」とかもそうなのだろうけれど、実にうまく日本人の琴線に届く描き方をするよね、と。

 太平洋戦争末期に南洋から奪ってきたとされる金塊。後にやってくるマッカーサーの財宝ということで、それを秘匿してきたるべき日本再生のための資金としろという密命を受けて、それを実行した数日間を描いたもの。負けるということを承知していて、その後どうするのかということで資金を隠しておけと。

 炭鉱跡だかの坑道を利用してそこに安置し、入り口はふさいで誰にもわからないようにしてしまう。その搬入作業には無垢な少女を使う。秘密を守るために最後にはその少女や引率の教師の命を奪うことを下命されるも、さすがにそれに躊躇し、いよいよ 8 月 15 日を迎えると。

 殺さずともよいという言葉を受けて戻ったものの、感受性の強い少女によって皆は坑内に。そして殺害のためにと用意されていて薬剤を入手して金塊を守るかのように集団で自決。たまたま最後の湯浴みを終えたあと、掃除をしていた級長の少女だけがひとり残ることになってしまう。作戦遂行のために実務に長けた軍人ひとりが参加していたのだが、赤鬼さんことその軍人とその後夫婦となり、学校を作る。学校には死んで行った少女たちの追悼碑が作られている。贖罪という意識から学校を作ったのかもしれない。

 卒業式のさなか「もう命令を守らなくてよい」という声を聞いたといって赤鬼さんが亡くなる。その葬儀の準備をするなかで、実はと語り始める物語という展開もベタではあるけれど、しっくりと過去へといざなうにはふさわしい。

 繰り返すけれど、史実であるのかどうかは知らない。けれども、当時であれば類似のことはあっても不思議ではないかもしれない、と思わせるのもまた事実で。やはり浅田次郎恐るべし、という物語なのだった。

B005743LRS日輪の遺産 特別版 [DVD]
角川書店 2012-01-19

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