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一人息子

 小津安二郎の生誕何年だったかの特集で毎日ひとつずつ配信されていた中で見たひとつ。トーキー第一作だったと黒豆さんにも教えてもらったのだった。

 で、見ているとところどころで映像のつながりがよくない部分があったりして、気になった。特に息子の家を訪ねていってそこにあがってというあたりで、繰り返しになってしまうような奇妙な映像のつながりがあったりして、いやそこはさっき終わった場面ではとか思ったり、逆に場面がつながらないのではというところもあったり。

 また、音声がなく静止画が 1 分くらい流れるようなところもあって、さすがにこれもちょっとなあと思ったのだった。

 と、まあいろいろ苦労されているらしい跡が見えるのもトーキー第一作というあたりで許せることであるし、内容そのものはなかなかによいので瑣末なことではあるのだった。

 上田の製糸工場で必死に働く母親が、息子の学校の先生にそそのかされて(あるいは息子の見得が元で)東京に息子を出すことになり、田畑を売ってみずからは工場に寝泊りするようなつましい生活をしながら息子が立派に育つのを期待していたと。

 ようやく息子を訪ねて東京に出てみれば、息子は結婚して赤ん坊まで生まれたところという。しかし、就職は思わしくなく夜塾の講師をして糊口をしのぐ程度の生活。妻の実家は料理屋らしく多少融通してもらっているらしいが、それもそうそうというわけにはいかず着物を質にいれて母親の状況の世話に当てる始末。

 件の息子を「これからは東京ですよ、おかあさん」とか言ってそそのかしていた先生は、うどん屋のおやじになっていたという現実。確かに息子は立派な会社に勤めるとかでもなく、日々の暮らしはまずしい。自分はこんなことのために苦労したのだろうかと自問したりもするが、息子の誠実な暮らしぶりを知るにつけ、それはそれでよかったのかもしれないと気づいて帰っていく。といった話。

 親子の情や、口にはなかなか言えない状況であったり、現代にあってもまったく変わらない様子が描かれていて、確かに映像や内容そのものは古めかしいけれど、その根底にあるものは時代を感じさせないなとちょっと感動した一作ではあったのだった。

 撮影に使われた製糸工場は今も上田駅近隣に保存されているとも教えてもらった。線路からも見えているようだけれど、一度しっかり見てこようかなとも。


B00C2DX7H6あの頃映画 松竹DVDコレクション 「一人息子」
松竹 2013-07-06

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コメント

息子の嫁さんが、いい人で、良かったなあ…と(^^)

投稿: 黒豆 | 2013.12.28 16:25

それが、何よりですよね(^^)

投稿: ムムリク | 2013.12.28 21:47

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