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大停電の夜に

 クリスマスイブの夜? に様々な思いや事情をかかえる人々に焦点を合わせて、そこで起こる東京での停電という事態をうけてそれらの人々に降りかかるできごとを描いた作品。

 まずもって理由が流星かなにかの衝突らしきこととはいえ、東京がまったくの暗闇になってしまうなんてことは、先の震災の影響でもなければ想像もできなかった。とはいえ、身近な先例があるのであるいは? などとも考えられてしまう。(それでもちょっと無茶な設定ではある)

 さらには、数組の特定の人物たちが相互に関係しあって物語がつむがれていくというのは、映画だからこそとはいえ現実ではそこまでは無理だろうと思ってもしまう。といって映画が無茶苦茶かというとそうでもなくて、そのつながり具合が案外よかったりもするし、だからこそ物語がうまく回ってくれるというところでもある。

 かつて思いをよせていた女性をあきらめて今ではしがないバーのマスターをやっている男。かつてはベースで世に出ようとしていた。その彼女は今は人の妻で夫の父親はもう先が長くない。夫はその父親から、実はお前の母親は別にいて、今もここに住んでいると打ち明けられる。

 夫は父親からふいにそんな話をふられて困惑するものの、思い切って電話してみると件の実母がでる。やや時間があってから連絡して実際に会う。その実母の現在の夫は孫たちとイブを過ごすのを楽しみにしていたが、あいにくの大停電。妻から、実は結婚前に好きな男がいて、その人の子を産んでいたのだと告白。その子から電話があったとつげると動揺する。なんともいたたまれなくなって家を飛び出してしまう。

 あろうことか近所にあるスポーツカーを盗んで運転する老父。しかし、大停電ということもあって道路はいずこも大渋滞。ふと見た先に見つけたのは女性を背負った奇妙な男。

 実はこの男、出所したばかり。かつての女性の現在を確かめに行くと買い物帰りの女性と遭遇。女性は別の男性と結婚しており、逃げ出す。逃げ出してしまうのでつい追いかける男。地下鉄に乗り込んでしまったものの停電で列車も止まる。走ったりしたのもあってか女性の様子が変わる。臨月間近だった。

 運転手にかけあうが、安全上そんなことは許可できませんとか突っぱねられる。ところが乗り合わせた乗客が男に協力を申しでて女性を背負って線路を歩いて病院を目指すことに。そして地上へでたところで出会ったのがスポーツカーを盗んだ老父。

 とまあ、よくもよくも関連づいたものだという連環話が繰り広げられる。

 結局のところそれぞれの物語に大きななにかがあるというわけでもない。ごく小さな誰にでもあるようなできごとで、それがなにか特に変わった解決をするというでもない。それでも停電したという特異な状況のなかでそれらの人がそれぞれに思いをよせて前に進もうとしている姿勢がなんともけなげだったり、うれしかったり。

 特別よいというほどの映画とはいえないかもしれない。それでも、ストレスを抱えた社会で、ちょっと息抜きするかのような時間を味わえるとでもいえばよいのか。寒い夜に暖かくしてぼんやりと見るとちょうどよいかもしれない。

B000C5PNVY大停電の夜に スペシャル・エディション (初回限定生産) [DVD]
角川エンタテインメント 2012-09-12

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