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Jの悲劇

 007 役者のピアースブロスナンが悪い新興宗教の牧師を演じた「サルベーション」を見たあとで、同じように 007 を演じたダニエル・クレイグが登場する映画をたまたま見たのだった。「J の悲劇」というタイトルはエラリークイーンかという感じでどうもいまひとつなのだった。(原題は「Enduring Love」)

 まあ、確かに主人公におこる理不尽な事件によってせっかくうまくいっていた恋人との関係も壊され、仕事の関係でも邪魔がはいり、人生を棒に振ってしまうのか? という展開になるので、悲劇ではあるのだけれど。

 たまたま恋人とピクニックに行ったところ、気球が見える。なにやら騒いでいてなにか困った事態になっているらしい。子供がひとり乗ったまま上昇しようとしていて、必死に一緒に乗っていた父親だったかおじいちゃんだったかがロープにしがみつくようにしている。

 主人公を含め、付近にいて事態に気づいた数人が助けにかけよりロープにしがみついて下ろそうとする。子供になにかのロープを引けというのだが、間違ってバーナーを噴射してしまう。当然、気球は上昇する。それをなんとか下ろそうとする。ようやく大丈夫か、というところへまさかの突風。容赦なく上昇していく気球。ロープにしがみついている大人の男数人。やがて、誰ともなく手を離して地上に落下。一人だけが取り残されてしまい、さらに気球が上昇したところで力尽きて落下。

 まだ助かるかもしれないと主人公が探しに行く。ひとりだけついてくる男性がある。見つかるが事切れている。ついてきた男が、こういうときには祈ろうという。自分はそういうことは嫌いだからと断る主人公に、頼むから一緒に祈ってくれという男。やむなく形ばかりあわせておく。

 事故がトラウマとなる主人公の前に姿を現すのは一緒に祈りをささげてくれといった男。執拗に彼の周囲に現れては「自分の気持ちに素直になれ」「君がサインを送ってきたんじゃないか!」と意味不明なことを_言い出す。はじめは事件の傷からなかなか立ち直れないということを言っているのかと思っていたら、そうではなく、つまり男は男色で主人公が自分に色目をつかったじゃないかというのだった。以来、自分は君のことばかり気になってどうにもならないんだ、この気持ちをどうしてくれるんだ、と。

 なかなかすっぱりと断れない主人公の性格があだとなってますます男は増長していく。しだいに恋人との関係もまずくなり、あげく男が彼女は僕たちの間の障害だから取り除くべきだといったことを言い出す始末。

 というまあおぞましくも怖い展開が静々と描かれる映画。もう本当に後ろを振り返ってしまいたくなるくらいに怖いものが。

 もっとはっきり言えばいいのにとか、いろいろ思うところはあるものの、また、なぜ今頃になってそんなことを調べだすのかとか思うものの、それでもなおなかなか怖いもの見たさ的な面白さのある映画ではあった。ラストがもうぞっとくること請け合いで。

 とびきりとはいえないのだけれど、なかなかに狂信的なものの怖さをヒタヒタと感じさせてくれるという点では面白い映画だった。

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メディアファクトリー 2006-04-28

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