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ストラディ、ストラド

 NHK スペシャルで「ストラディバリウスの謎」。五明さんという女性バイオリニストが案内役だったが、冒頭少し見逃し気味だったので、どういう家系をお持ちなのかはよくわからなかった。顔つきは南米系の印象もあったりなのでハーフとかクウォーターとかそういう方面なのかしら。でも、なかなかかわいらしい顔立ちの方だった。

 それはともかく。

 音響であるとかいろいろの方面からのこれまでの分析・研究結果を披露しているという番組。最終的には CT スキャンまでして寸分たがわぬモデルを作ってみたというのだけれど、それでもなお本物とは違いが歴然ということらしい。

 ただ、演奏を聴いているだけのものにはあまりその違いを聞き分けられないようでもあった。もちろん、それはいかなプロという人でもいろいろいるということなのかもしれないし、よくはわからない。演奏している人にとっては明確にストラドとそうでないものとの違いがわかるのだとか。

 形状などを寸分違わずに作ったとして、それでもなお材料の違いであったり、微妙な違いは避けようもないのだし、なにか違いがあるのかもしれないけれど、あるいはそこには二代目のジレンマみたいなものがあったりはしないのだろうか? と素人としては考えてみたりもする。

 つまり、常連客の多い飲食店で親父さんが亡くなるなりして二代目が店を続けている場合の話。先代からしっかりと手ほどきを受けてレシピにしても作り方にしてもきちんとやっているし、先代から味の保証も受けているような二代目でも、常連客からは「まだまだ親父さんには及ばないな」といったことを言われる現象(かってに名前をつけた)。

 真実味が微妙に違っていて、微妙に負けているということもあるかもしれない。けれど、どうしても前の印象が強くなってしまう傾向というのはあるので、どこまで行ってもそれには及ばないと思われてしまう。仮にそれが本当はすでに先代の味を超えていたとしても。

 死んだ人はたいていいい人になるし(別に悪い人だったといいたいわけではなく)、なになにが上手だったなあとかいう話になると、これもまた同じように二代目のジレンマ現象の発動となる。どこまでいっても故人と直接比較にしようもないので超えることができない。まあ、故人の場合はそれも供養と思って諦めるのが吉ということなのだろうとは思う。

 そんなふうにストラディバリウスだからよい音なのだ、優れているのだというような印象操作みたいなことが起きていないという証明もなかなか難しいのではないかなあ、などと素人としては考えてもみるのだけれど、まあ素人の世迷言なのかもしれない。

 結局、謎は謎のままに終わった番組であった。

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