浜村渚の計算ノート 2さつめ
![]() | 浜村渚の計算ノ-ト 2さつめ ふしぎの国の期末テスト (講談社文庫) 青柳 碧人 講談社 2012-01-17 by G-Tools |
2 冊目ということで落ち着いた感。扱われるネタは、ルービックキューブ、累乗、割り算(割り切れるということ)、n 進法といったところ。といって数学オタク的に面倒な論理が展開するというわけではなく。
ルービックキューブでは群論がその解法に関係するというのは知っているものの、そういった類の話は一切でてこない。単にルービックキューブというアイテムをネタにして物語を展開させているだけで、犯人との最後の対決にしてもある意味卑怯とも、それでいてまあそうだよねというあたりで落としどころをみつけている。
累乗の話では渚が最終的にはでてこずに事件が解決するという新しいパターンに挑戦していて、これはこれでなかなか楽しい。
割り切れないということを持ち出して法廷劇としたのが「割り切れなかった男」。ごくごくシンプルな割り切れるかどうかというだけの計算なので難しい解説はとくにない。ただ、トリック的には弱い。その場に何人存在していたのか、ということを持っていたチョコレートの数と、丁寧にも残していたという包み紙の残りからそれを計算するという最後の証明。
ただ、それはすべての人が同じ数のチョコレートを食べたという前提に基づいているわけで、その前提は証明されない。誰かが余計に食べているかもしれないし、少ない数しか食べていない人がいるかもしれない。法廷とすればそこは論点になるべきなのだろうけれど、割とあっさりと前提が受け入れられてしまっている。まあ、被告があっさりと認めるという展開になるので、それはそれで成り立ってしまうのだけれど。本格的なミステリーではないのだからといえばその通りなので、まあそれでよいのかもしれない。
最後の「ふしぎの国のなぎさ」は小説内の小説というか、夢というか、アリスの物語になぞらえてまとめてみたかったという願望を形にしたちょっと変わった作品。それだけにかなり自由に描けていてその分面白いともいえる。
総じて言うと 2 冊目ということで、いろいろ冒険してみましたという色が濃く、その分なかなか楽しめる内容。
本の帯を見ると漫画になっているとかで、いずれアニメ化もされるのではないかなあ。というか、アニメ化しても面白そうなあれこれがあるよなあと。まあ、ネタだしが難しいところがあるので、もう少し先かしら。いや、8 のテレビあたりでドラマ化のほうがあるいは先だったりするかも。
#渚の偏差値を求める問題は、結局パズル的な答えだったのがちょっとという感じも。
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