あの人は今
およそ 30 年あまり前。NHK ラジオの夜の番組で「青春を生きる」というインタビューを素に構成した番組があった。20 代くらいの若者数人がとりあげられていて、紆余曲折あったそれぞれのこれまでを紹介しつつ、今いかに生き生きと活動されているかといったところを紹介しているのだった。
その中のひとり、当時仙台市天文台に勤務していた高橋博子さんの放送は今も録音を残してある。当時というのは現在も勤務されているのかどうかを知らないというのと、さすがに年数が経ちすぎているのもあるのでどうであるかはわからないので。
記憶でどんな内容だったかを思い出すと、高校卒業後に就職はしたものの三日ほどで嫌になって辞めてしまったのだとか。しばらくはもんもんとして何をするでもなかったらしいけれど、ふと天文台を訪ねるうちに心が落ち着いていったらしい。
そのうちに天文台の仕事を手伝うようになり、結局そのまま勤務できるようになった。プラネタリウムの上映をしたりもしたが、当時もっとも打ち込んでいたのは太陽黒点の観測だった。まだはじめて間もないということで、その当時はまだ蝶の姿は描けていないということだったが、もしも今も継続されているのであれば、立派な蝶が描かれていることなのだろうなと。
国立天文台だったかで同じく黒点観測で著名な女性がいて、その方を尊敬されているといったような話もされていて、ご当人からも言葉をいただいて恐縮されていたようにも記憶している。
今も昔も変わるわけではなく、生き様などはたったひとつというわけではなく、ただ、それに出会えるかどうかという点では、必ずしも簡単ではないともいえて、そこが悩ましいところでも。
十数年前にふと思い出して仙台市天文台を訪ねた。まだ在籍されているのかもわからなかったし、なにより面識があるわけでもなんでもない。在籍の有無を尋ねることもなんとなくはばかられて、結局聞くこともできずに帰ったのだった。評判のよいプラネタリウムの上映は見てきた。さすがによい内容だった。
夏になると、なんとなくそんなことを思い出して、今、どうされているのだろうと思ってしまう。
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