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群流星と散在流星

 近年では日食をきっかけにして比較的天体観測への熱が高まっている様子。NHK 長野放送局では、今年度星空プロジェクトなどといって写真を集めたり星空の紹介をしたり、いろいろやっていたりもする。が、やはりそこはきちんと正しく伝えていただきたいな、という思いも感じたのが今週。

 夏の夜空の見所のようなものを紹介しているコーナーだった。臼田スタードームの方に案内を請うという形で紹介していたのだが、ペルセウス座流星群についてのイメージ画像があまりにもいい加減で、勘違いされてしまうとよろしくないなあと思ったのだった。

 バックのイメージ映像として映されていたのはペルセウス座と周辺の星空。そしてあたりを縦横無尽に飛び交う流れ星。もうまるっきり流星群を無視してしまっている。詳しいところは国立天文台アストロアーツあたりのサイトを見てもらうとして、群流星というのと散在流星の違いということをきちんとわかっていないから、こういう映像を作ってしまうのだろうなと。

 群流星というのは流星の流れた向きを逆にたどっていくとある一点に集中する。それを放射点とか古くは輻射点と言った。その放射点がペルセウス座にあるので、ペルセウス座流星群というわけで、これが白鳥座にあるものを白鳥座流星群と呼ぶし、ふたご座にあればふたご座流星群と呼ぶ。

 地球に見立てた円を描いて、放射点を擬似的にその外側にとり、そこから地表に向けて直線を引いてみればわかることだが、鉛直方向(地表に対して 90 度)では流星は点にしか見えない。まっすぐこちらに向かっているからだ。 一方で放射点から離れるほどその長さは長くなる。

 つまりイメージとはいえ映像化するには、放射点付近ではごく短く、離れるにしたがって長い流星を描くべきなのだ。長大な願い事をしたいのであれば放射点からやや離れたところを見るようにしていれば、長い流星を見る可能性は高いかもしれない。少なくとも放射点付近だけを見ているよりは長いものは見やすい。

 もっとも長いといってもせいぜいが 1 秒程度でしかない。消えるまでに三回唱えるというのはなかなか至難の業なのだ。まして放射点付近だけを見ていたのでは 0.1 秒とかで消えてしまって気がつく暇もないかもしれない。

 まあ、あくまでもイメージだし、そこまで文句をつける必要などないのかもしれないけれど、どうせやるならもう少しとも思うのだった。

 観察したいというのであれば、とにかく開けた明かりのない場所を選ぶこと。ごろりと横になってしまうほうが楽だが、地面は案外冷たい。深夜ともなれば肌寒さを感じることもある。断熱のシートを使うとか、横になれる椅子などを使うと体が楽。

 どこを見るかについては、とにかく流星が見られればいいというのであれば、どこを向いてもよいともいえるけれど、まあ東の中空といったところが無難ではないかと。望遠鏡を見るときのコツとも同じだけれど、できるだけ漫然と見ているほうが全体を見渡せる。

 時間については、実のところ深夜のほうが多く流れる。暗さが十分ではない場所での観察であれば、24 時から 26 時くらいが一定のピークになるはず。

 一番肝心なのは天候で、今年のような異様に暑い夏は夜になると急に雲ってしまう。それが朝まで続くということも多いので、正直難しいかもしれない。FM 観測というのもあるにはあるのだが、家庭でできるというものでもないか。

 極大日は 13 日ではあるものの、前後数日を含めて観測すると、なかなかよい自由研究にもなるのではと。(実際なったので)


 絶版だよねえ。

B000JA0P2Y流星観測ガイドブック―肉眼・写真・電波観測・観測の整理・軌道計算まで (1974年)
日本流星研究会
誠文堂新光社 1974

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Meteorstreamguide


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