【映画】ミレニアム1,2,3
翻訳が出版されたときにも話題になっていて、信頼の置ける人の感想でもよい感触で、小説もそしてすぐに映画になったほうでもなかなかこれは面白そうなのだなと思ってだけはいた「ミレニアム」三部作。どうしたわけか GyaO! で5月一杯は 2、3 も含めて無料配信されているので続けて三作見てみたのだった。率直な感想は、実に面白かった。
1 はつまり事件の発端というところで、2・3 でその過去をあぶりだして忌まわしき闇を葬り去るところが描かれるといったところ。
1 はとにかく衝撃的な感じで、この後見人の弁護士は悪い奴だなあ、というあたりとか、リスベットのそのコンピュータ技術のすごさはとんでもないなあとか(しかし、そんなに誰の PC にでも用意にもぐりこめるものだろうかというふうには思うのだけれど)。そして、最後の痛快さはどうよ、というくらいに見事で、思わずほくそ笑んでしまう展開。
実のところ、これで終わりでも十分によいのではというまとまり具合で。実際に見てみるとリスベットの過去やそこにかかわる国家の秘密組織や国家機密のことなどは、それはそれで面白いのだけれど、やはり余興みたいに思えてしまう。
ゆえに 2 は単純にはリスベットの復讐劇という感じなだけ。展開や設定は面白いので十分に見られるし、面白いのだけれど、なくてもよかったのかなあとも思ってしまう。
さらには 3 でいよいよリスベットやミレニアム誌にまで手を伸ばしはじめる秘密組織との攻防あたりが主なのだけれど、終盤それがリスベットの裁判のほうに重きがいってやや薄れ、最終的に逮捕の場面になるといささか手抜きかというくらいの軽い扱いになってしまうので(まあ、それはそれでありなのだけれど)やや面白みには欠けてしまう。
では、裁判のほうはどうかというと、こちらも割りとあっさりとしていて、唯一の見せ場は盗撮しておいた弁護士によるレイプ現場を裁判官らが見るというあたりと、精神科医を逮捕するにいたる場面くらい。もう少し見せ場があってもよかったのではないかとも思うくらいだった。ちょっと興ざめなところがある。
最後の件はどう決着をつけるのだろうと思ってはいたので、まあまあうまくまとめたのかというところだけれど、これもまた付けたしという感じなので、いっそもっと簡単に報告だけということでもよかったのかも。
ミカエルとの最後の場面は、続編が作られてもいけるのかな、という雰囲気もあって、続編そのものはもういらないと思うけれど、映画としてはいい感じの終わりだったのではないかなと。
そうじて言えば重厚な設定にハードな展開がうまくはめこまれていて見ごたえもあるし、長時間をものともしない見せてくれる映画だった。ただ、全般にはやはり次第に少しずつ面白みが減退していく印象は拭えなかったかなと。
シリーズものにありがちなことではあるけれど、やはり 1 が一番まとまりがよかったかもしれないなあと。(でも、もちろん 3 まで見て損はないと思う)
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ちなみにハリウッド版の「ドラゴン・タトゥーの女」もあるようで、こちらは未見ではあるものの、こうしてみるとやはり本家スウェーデン版でなくてはこの味はでないだろうという感じが強いので、ぜひこの三部作で見るのがよいのではないかなあと。
いずれは小説も読んでみたい(文庫も出ているけれど、やはりカバーはこちらでしょう)。
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