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かつてこどもだった人の日

 連休やお盆など特別編成になると放送される NHK の「にっぽん紀行」。今回いちばん残ったのは石川県からの踊りの師弟の姿のドキュメント。88 歳になるお師匠さん。一人で育てられた子供さんも自分よりも先に亡くなってしまい、以来ずっとひとり。いろいろ苦労はされてきたらしいけれど、今も現役で踊りを教えている。100 以上だか数百だかという踊りをみな覚えていて、いざ踊り始めると自然と体が動きだす。

 お弟子さんといっても 70 前後の女性おふたり。すでに 60 年のお付き合い。かつてはたくさんのお弟子さんがいたそうだけれど、今ではこのお二人だけ。どちらもそれなりに波乱の半生であった様子。

 近頃先生は物忘れすることがあって、意気消沈することも。すんなりとできていてはずのラジカセの操作も時に覚束ない。ある時には弟子の顔も忘れてしまう。それでも、そんな様子だからこそふたりの弟子は先生との師弟関係を続けたいと練習を続ける。そうすることで先生は我を取り戻し、生活を取り戻し、自身の人生まで取り戻すのかもしれない。

 踊りはどこまでいっても勉強なのだと稽古をかかさない。それは自分のためでもあり、先生のためでもあり。励まし励まされて三人四脚の日々。

 春のお祭りで小学生の子供が踊りを披露する。その指導に先生が三週間かかりっきり。途中、うまくいかずにいるときも弟子ふたりが支えつつ子供もそれをじっと受け止めて待つ。祭り当日、先生がいる施設でも踊りを披露。帰り際に子供が先生に声をかけるが、先生は聞こえないのかしらんぷり。お弟子さんが声をかけるが、「あんた誰?」。ほどなく分かったらしいけれど、そんなこともあるよと受け止める関係がなんとも素敵だ。

 生まれた以上いつかは必ず死ぬ。歳とともに体も頭も次第に思うように動かないようになっていくのも当然のこと。子供のころに思うように出来なかったことと似たようなこと。それもそれと受け止めつつ、自分のためにも周りのためにも可能な限り元気でいられるように、体を動かし頭を動かすことは心がけたいもの。

 子供の日を前にして、かつての子供について思いをはせるのも悪くないのじゃないかな、などと思った今年。

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