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エンパイア・オブ・ザ・ウルフ

 よくは分からないままにジャン・レノだしととにかくも見始めたら意外なくらいに掘り出し物感。冒頭は記憶障害になっているらしき女性の診察風景からはじまる。歴史的な著名人などはわかるが夫の顔がわからない。生活は普通にできるけれど、どこかの時点で記憶が消えているらしい。時折夫やその知人の顔が不気味な化け物に見えてきたりする。

 一方で女性が次々と惨殺される事件が三件立て続けに発生。体のあちこちを無残に切り刻まれている。みな似たような年頃の女性らしいが接点はよくわからない。

 記憶を失った女性は夫やその周辺になにやら恐怖や違和感を覚え、みずから探した精神科医の女性の診察を受ける。夫が整形して顔を変えているという可能性もあるのではと疑い、寝入ったところを確認しようとするが、そういったあとはない。

 進展のない捜査に若い刑事が単独で捜査をはじめるが、殺された女性たちがトルコ系であったことから、その方面に詳しいが悪い噂の刑事? (ジャン・レノ)と接触。一緒に捜査をはじめるが、不法入国を斡旋したり、その情報を一手にもっている男を強引に責め立てて情報を入手したりと不穏な空気。やがて三人目の遺体だけが少し様子が違うことがわかり、トルコ系のある組織の関与が疑われる。

 記憶を失った女性は、夫の勧めで意思の検査を受けるための支度をしいていたが、ふと見た鏡のなかの自分に違和感を覚え、頭部や耳の後ろなどを確認していく。はたして手術痕が見つかる。顔を変えたのは夫ではなく自分。とすれば夫という男の顔を知らないことも頷けるが、では自分は何者なのか? 危険を感じて逃げようとする彼女を夫やその仲間が執拗に追いまわし、発砲する。

 三人の女性はどうやら人違いであったらしく、トルコ系の女を捜していたのだとわかってくる。では、その女は誰なのか。たどり着いたのは記憶障害の女性の顔。というあたりで、捜査するふたりもろとも情報屋まで殺害しようともくろむ動き。

 女性は命からがら精神科医に助けを求める。知り合いの医師の協力で自分が何者かを探ろうとする。トルコ系の人間であることはわかるがそれ以上詳しいことはわからない。なぜ、顔を変えたのか。なぜ追われなくてはいけないのか。

 女性が記憶を取り戻し、そしてジャン・レノ演じる刑事は何者なのかとか、その展開のめまぐるしいほどの速さと奇抜ぶりになかなか楽しい。もっとも、最後のあたりでいったいどういうことだったのかよく分かりにくい面があるのだけれど、ここまでくるとまあもういいかと割り切ってしまうくらいの迫力。

 正直なところネタとしてはもっともっと広げようがあったのではと思うので、そのあたりとしてはもったいないというか物足りないところもある。ちょっと詰め込みすぎてしまったという嫌いではある。

 とはいえ、謎な雰囲気といい、猟奇サスペンスなのか、怪しい宗教団体とかなのか、とかいろいろ想像させてくれる展開はまさに息をもつかせぬという展開で楽しませてくれる。見て損はないと思うなあ。GyaO! で 5/4 まで配信中なのでぜひに。

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パトリス・ルドゥ
日活 2006-07-07

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