大人科学実験で!
いい大人になってから子供じみたことをして喜んでいるのはたいてい男。まあ、それにのめりこむばかりで他のこと一切がおろそかになってしまう場合、そんなことでは困るという人と、あるいは、それもまたよしという人と。いや、人というか周りとか家族とかがそれをどう受け止めるかというところか。
まあ、多くの場合は「いい歳をして」というところになるし、「いつまでもそんなことしてないで」と言われるかもしれない。でも、そういうのもあっていいじゃないの、という雰囲気というのも捨てがたい。
地球ドラマチックで模型グライダーを飛ばして英仏海峡横断するぞという話。模型店で売られているような大きさではなく人よりももう少し大きいくらいのスケールで作ったグライダーを飛ばそうというもの。
模型店で尋ねていわく。「この 6 倍くらいのはあるかな?」「ないですね。でも設計図なら手に入りますよ」「どこで?」「インターネットで」「インターネットね」。
かくして巨大な模型グライダーのパーツをレーザー加工機でカットして組み立て。飛ばしてみたら意外といい感じだったけれど、飛距離はさほどではなかった。ということで、少しばかり専門的に設計の見直し。(いや、そういうことははじめからやるべきではないのか、とも)
滑空比を高めないと動力のないグライダーでは 35km という英仏海峡を越えることができないので、そのあたりの設計を修正しこれならいけるというものが出来上がっていく。ただし、そのためにはおよそ 2400m ほどの上空からグライダーを飛ばさなくてはならない。
それならば気球から飛ばそうと当初計画。ところが、気球では高度や位置をきちんと保とうとしてもそもそもが難しい。一体全体どうやって気球から巨大なグライダーを飛ばすのかというのも難問。ということで、ヘリコプターからに変更。射出用の容器をつくり、電磁石でグライダーを固定しておいて、ヘリコプター側から電源を落として発射するように工作。
はたしてちゃんと飛び出すのかとテストしてみたところ見事に滑空をはじめた。
さて、いよいよとなったら、今度はフランスが許可をだしてくれない。そんな巨大なグライダーが飛んでくるのを許可できないということらしく、けんもほろろ。やむなく目的地をイギリス内の海峡を渡るという方向に変更。距離は同じくらいの 35km あるということで。
さて、いよいよ当日。あいにく天候がいまひとつ思わしくない。ヘリコプターで上昇はしてみたが、雲が厚く見通しが利かない。なにやら雲の中で飛ばしてはいけないとかいう決まりがあるそうで、高度をあまり上げることができない。それでもと決行するが高度の低さや悪天候には勝てず、結局 4km で海面に着水。失意の中解散。
ところが翌日。あまりもの晴天に、もう一度やるぞ! ということに。天候は申し分なくヘリコプターの高度はぐんぐんあがってついに 3000m に。というのも風向きが東からということで、昨日のように海峡の対岸を目指すことができないということで、西にある島を目指すことにしたため。その島までは 40km ほど。
そして無事に発射してどんどん飛んでいく。そもそも飛行方向がずれてはいけないのでということで、GPS を利用して自動操縦する(方向を調整するくらい)の機能が搭載されていて、勝手にそっち方向には進んでくれるというすぐれもの。いやあ、その飛行する姿の美しいこと。雄雄しいこと。
ついには見事に旋回を繰り返して島の滑走路に向けて着陸を試みる。残念ながら 5m だけ滑走路からはずれてしまったものの見事着陸。
壮大な大人の遊び。堪能した。でも、そうそう真似はできないよなあ。
#だから、やってみなくちゃ、わからない!
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