カールじいさんの空飛ぶ家
実はあまり興味もなく、例によってのピクサーアニメなんでしょ? くらいに思っていた「カールじいさんの空飛ぶ家」。テレビ放映されたのだけれど、当初は見なくてもよいかと思っていた。それでもせっかく放映するのだからこの機会に見ておくのはありだなということで、まあ、なんとなく見始めたのだった。
冒頭、爺さんがでてこないじゃないか、と思っていたら、カールじいさんの幼少期からはじまったのだった。そしてエリーという少女と出会って、ふたりしていつか冒険にでかけようと誓い合って、でもそれはどちらかというと結婚の誓いになって、というあたりから台詞がなくなる。サイレントの映像だけでふたりのそれからを描きだしておいて、やがて年老いてエリーは冒険の夢を果たすことなくこの世を去ってしまうらしい。
というあたりから本編がはじまると。
いや、実のところここまでがあまりに素敵な映像なので、これで終わりでもよいのではというくらいな気分だった。エリーとカールの暮らしぶりが目に見えるようで、仲睦まじい様子がありありと描かれていて実によかった。
で、土地の再開発計画らしいもののために立ち退きをせまられていたらしく、たくさんの風船をエリーとの思い出たっぷりの我が家に結び付けて南米の滝向けて出発するわけだ。
それにしても、その発端となった冒険家マンツ。彼がまだ生きていて、連れていた犬に会話のための特殊な装置を作ってとりつけているとか、いろいろとんでもな展開になるのだが、なによりもマンツの年齢はいったいどうなっているのだ? というあたりが。
カールが幼少期、見たところでは 10 歳には満たないくらいの年齢だと思うのだが、映画館で見た記録映画的なものに登場するのが、(恐らく)若き血気盛んな冒険家マンツ。年齢は20 代から 30 そこそこくらいか。発見したという巨大な鳥が捏造だと言われて生け捕りにするべく再び向かったままという設定。
カールもすっかり耳の遠いじいさんになってしまったのだから、年齢は 70 歳前後というところ。とすれば、マンツが生きていたとしても 80 から 90 にはなるのではという年齢かと思うのだけれど、その割りに元気だったり。まあ、実際元気な人もいるにはいるが。
と、まあ、それは余計なこと。たまたま出会って仲良くなってしまった巨大な鳥と、それを求めてカール達にまで手を伸ばすマンツとの戦いになっていくわけで、そこに見事なくらいに風船をつけた家がからんでくる。そして、エリー。
いやあ、エリーがあまりに素敵で(実際には冒頭の幼少期にしか台詞もないというのに)、その存在感の大きさ、強さたるや、実は物語の主人公はエリーではないのかというくらい。
夢とか冒険とか、持ち続ければ必ずかなう、という成功者もいるけれど、大方の人にとってそれは絵空事だというのは偽らざる事実なのではないかなと。もちろん、それにともなう何かを得ることはあるけれど、夢そのものについてはそんなに簡単なことじゃない。エリーもそんなことはよくわかっていたのだろうなと。
結末にいたるエリーの存在が実に素敵だった。食わず嫌いしてみないままでいたら、大損をするところだった。
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