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夜と闇

 またまたではあるけれど「100 分で名著」から。先週からは年度末ということもあってか再放送になっていて、ちょうど見ていなかったので見始めているのが「夜と霧」。人類である以上は読んでおかなくてはいけないよね、という本の一冊なのではないかと思うくらい。

 読んだのはすでに 25 年あまり前のことなので詳細は忘れてしまっている。いや、ここ 10 年くらいのなかで再読はしていたか(そんなことも忘れている)。とはいえ、ただ自分で読んだというだけでなく、研究者といった人の手になるまとめを見ると、しっかりと整理されているので、見落としていたこととか、忘れていたこととか、もろもろを再確認できるという意味でもなかなかよいかもしれない。

 強制収容所関連では書物や映画がたくさん作られているし、そのどれもが身の毛のよだつような迫力でもってせまってくるわけで、同じ人としてそうした現実があったということを思い知るべきであるし、そこからきちんと学ぶこともしなくてはいけない。

 ただ、世の中の狂人的な社会、あるいは世界では、「なるほど、こういう方法があるね」などと歪んだ方向への関心をよせないとも限らないという面は否定できず。それはきっと、番組一回目で言っていた「人に与えられた最後の自由である、事態にどう対応するのかを決めること」というところでもあると思えば、どちらを選ぶにせよやむをえないところではあるのかと。

 もちろん、どちらが正しい道であるのかは自明であろうとは思うけれど。

 ということで再放送を見ながら「夜と霧」を振り返ってみようかなというしばらく。

 この手の本としては、「最底辺」も記憶にとどめておきたい一冊。西ドイツの最底辺の人々に潜入し(髪や体をあえて変えてまで)、その暮らしぶりの凄絶さを取材したルポルタージュ。発売当時(25 年くらい前にはなると思う)かなりの反響ではあったけれど、今ではすっかり忘れられた存在かもしれない。

 実のところ読んだ気になっているけれど未読なので、いずれはしっかり読まなくてはと思いつつ幾年月。

4622039702夜と霧 新版
ヴィクトール・E・フランクル 池田 香代子
みすず書房 2002-11-06

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400000882X最底辺 Ganz unten―トルコ人に変身して見た祖国・西ドイツ
ギュンター ヴァルラフ マサコ シェーンエック
岩波書店 1987-06-24

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