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100分でモンテ・クリスト伯

 このところつい見てしまっている E テレの「100 分で名著」。今週で終わったのだけれど、今回は「モンテ・クリスト伯」だった。

 言うまでもなく名作とか、ベストセラーとかだとどうも手が引っ込んでしまうので、当然のごとく未読。「岩窟王」ですら読んでいない。と、思う。

 岩波文庫版をベースに番組はすすんでいたけれど、全 7 巻だそうで、なかなかの長編。デュマは三銃士のシリーズにしろ長くて、読者を引き込んで話さないところがあったらしい。

 ところが、主人公のエドモン・ダンテスが無実の罪で投獄されて脱獄するまでというのは実はあっさりしているらしく、当の文庫では 2 巻くらいで脱獄して財宝を得て億万長者になってしまうのだとか。もちろん、あっさりというのは全体の長さに比してということで、部分としては十分らしい。

 で、すぐに復讐がはじまるのかと思いきや、中途は他の話やら枝葉の話やらが続いて、実際に復讐がはじまるのは 6 巻くらいかららしい。ずいぶんと無駄な、と思ってしまいそうなのだが、案外そうでもないらしく、その枝葉にあたる部分が後の復讐への伏線やら、材料やらになってくるのだそうで、いやあ、デュマは読者の心を巧みに操るすべを知っていたということらしい。

 当時、なにやらいろいろの作品を平行して書いていたという話もあったり、多額の金が手にはいったのだけれど、蓄えるという気持ちはなくてあれやこれやと投資して、家を作るわ、なにを作るわ、女性に貢ぐわ、まあ使いたい放題という感じで、最終的には無一文になってしまうらしい。

 稼ぐだけ稼いだら、見事なまでに使ってしまう。江戸っ子のような人だったのか。

 最終回では安部譲二が登場して、「獄中だから長いものが読めるんだよ」とか、「長くないと駄目なんだよ」みたいな話もでて、まあそうだよねと。そして、その長さを感じさせないほどの面白さというのが、ここまで時代を経て読み継がれている理由なんじゃないのと。

 なんのかんのいっても、つまるところは面白いか面白くないかというのはあると思う。主観かもしれないけれど、万人をひきつけてやまない面白さというのは、間違いなく存在するのじゃなかろうかと。

 今更ながらではあるけれど、読んでみるか、とついその気にされてしまった今回であった。

4142230239デュマ『モンテ・クリスト伯』 2013年2月 (100分 de 名著)
佐藤 賢一
NHK出版 2013-01-25

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400201133Xモンテ・クリスト伯 7冊美装ケースセット (岩波文庫)
アレクサンドル デュマ 山内 義雄
岩波書店 2007-12-18

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コメント

デュマだと「黒いチューリップ」もおすすめです。
これも、黒いチューリップの開発に成功したがため、無実の罪を着せられて投獄されてしまう男の物語。
「巌窟王」も「黒いチューリップ」も、子どもの頃読んだのですが(世界名作全集かなにかだったから、子ども向けの訳でしたけど)、ハラハラどきどき感は、時代を感じさせない面白さでしたね。

当時のスティーブン・キングだと思えば(^^)。

投稿: 黒豆 | 2013.03.07 19:51

スティーブン・キングというのはいえてるかもしれませんね。
昔は、これとか「三国志」とか「金瓶梅」とか、やたらと長編をリストアップしてあったのですが、はたして死ぬまでに読めるのかどうか(^^;
#読まないからどうということもないですが。

投稿: ムムリク | 2013.03.08 09:53

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