アンカーウーマン
そんなうまい話なんてそうあるものではないだろう、というのは確かにあるのだけれど、現実のほうがはるかに奇妙なことなどはよくあることで。
極端にいえば、その日の生活にも苦しいような毎日だった女性が、たまたまつかんだきっかけによってニュースキャスターとして名を馳せるまでを描いた物語と。実話に基づく話らしい。
で、レビュー方面では、実話にはない話があるとか、実際はこうだったのに、という理由でけなしているものがあるのだけれど、なにか勘違いしている。実話に基づく映画というだけで、実話をまんま映画にしたとは言っていない。いや、実話ままの映画とか小説とかどれほどあるのだろうか、という。
あくまでもそうした実話を題材として、映画としてよりよくなるように(それが必ずしもよいかどうかは、また別の問題だけれど)作ったものが作品としての映画であり、あるいは小説であるのだから。そういう瑣末なところにケチをつけるのはまっとうなレビューではないから無視してよいと思う。
で、単純にアンカーとなるまでのサクセスストーリーでおしまい、とならないあたりがなかなかよい。といってただのラブロマンスというだけでもなく。
夫となったプロデューサーがかつての自分を取り戻していく過程と、ヒロインがアンカーになって活躍を広げていく様と、それぞれが相反するカーブを描きつつ次第に波長がそろっていくかのような展開がなかなかよい感じ。
もっとも、そのために結末が見えてしまうので、結末にたどりつくのが少し辛い。そして予想通りの結末。それもまた人生なのだろうなと思わなくてはいけないのかと。
確かにベタすぎてありえないだろうと思ってしまう物語ではある。それでも、「君の人生はそれでいいのかい?」といわれているようで、ドキドキ、ズキズキきてしまう。
なにかと古い映画によさを見出してしまうのは、あるいは歳をとった証拠かもしれないなあ。
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