鉱石の記憶
先月から道尾秀介の新聞連載小説がはじまったので読んでいる。近年人気の作家さんなのは知っているけれど、読んだことはないのでよい機会ということで読み始めた。まだ、はじまったばかりで何がというわけでもないけれど、たまたま懐かしいものが登場したのでメモがてら残しておくことに。
ゲルマニウムダイオードとイヤホンをつないだクリスタルイヤホンとかいうものが登場した。実のところ名前は知らないが現物は目にしていたし、使っていたこともあった。たまたまイラストがそのものだったのもあって、一体なにがはじまるのだろうと、その回は余計に気になって読んだ。
むかし、兄がちょうど同じようなものを作っていた。もちろん、それは当時のラジオ雑誌「模型とラジオ」とかその手のものにでも載っていたのかもしれない。
少し違っていたのは、ダイオード 2 つだけではなく、コンデンサもひとつそこに入っていたように記憶している。小説のほうでは単純につないであって、それを金属部分に触れるというものだったが、兄のそれはコンセントのプラグに組み込んだものだった。
当然プラグピン 2 本に接続などすればとんでもないことになるし、そもそも端子はひとつなのでプラグピンもひとつだけにしてある。外から見ればプラグピンが一本だけの奇妙なコンセントプラグになぜかイヤホンがつながっているという形状。
これをコンセントに差し込む。するとラジオ音声が聞こえてくる。こちらのほうが多少音声が大きかったような記憶はあるが、なにしろ昔のことなのではっきりとは覚えていない。
いったいなぜこんなものが小説のなかに登場するのかと、ちょっと不思議に思いつつ、今後への期待も混じりつつ。
今ではダイオードというと、すっかり発光ダイオード(LED)というイメージが先行してしまい、電子部品としてのダイオードなどは知る人も少なくなってきたのだろうなと。なにより、集積回路だったり、もろもろ小型化されているし、部品の世界もずいぶん変化してきている様子でもあるし。
そんなちょっとアナログな世界、技術、仕組みといったものも、あるいは人生のちょっとした楽しみになるのかもと。
さて、物語そのものは、今後どう展開していくのだろう。
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コメント
鉱石ラジオ。
子どもの頃作るのが流行りましたね。
みんな、石けん箱の中に組み込んで持ち歩いてました。
小さな音が聞こえるだけでしたけど。
作り方もすっかり忘れちゃいましたけどね(^_^;
投稿: 黒豆 | 2013.02.11 14:25
へえ、道尾さん新聞小説の連載をされていたんですね。
最近新聞を取っていないので(^^;新聞小説も読んでいないのですが、毎日ちょっとずつ進んでいく物語を読むのも楽しいですよね。
(但し、留守の時も取り置きしてもらわなくてはいけないのが難点w)
投稿: tako | 2013.02.11 18:57
>黒豆さん
ちょうど時代は鉱石ラジオからトランジスタラジオにというところで、さらには集積回路にという変化もあって、なかなか面白い時代だったのかもしれませんね。
>tako さん
「透明カメレオン」というタイトルで連載中です。来年あたりには出版されるのではないでしょうか(まだはじまったばかりですが)。
投稿: ムムリク | 2013.02.11 21:13