必死剣 鳥刺し
劇場公開時、テレビでその CM を見たりしていて「なんだか焼き鳥屋みたいなタイトルだなあ」などと冗談みたいに思っていたのだった。「必死剣 鳥刺し」。
必死というのも文字通り必ず死をもたらすという意味なのだろうけれど、なんとなく揶揄する方面の必死のイメージが強いのか、ちょっと奇妙に感じてしまうのもあったのだった。まして、鳥刺し。
そうは思いつつも見ていたら、これは意外にも掘り出し物という感じ。鳥刺しという必殺剣を持っているとうわさされるものの、凡庸なお勤めだった藩士が、藩の財政悪化を招いている困った側室(だったかな)を公然と殺害。温情によって蟄居ですむのだが、何年にもわたると。
その間けなげにその世話をするのが出戻りらしい姪。出戻りゆえ、実家に戻るのも気が引けていたところをおじが引き取って住まわせてくれていたのだが、実はそのおじに恋情を抱いてしまったと。一度だけお互いの心を許すのだけれど、それが公になればただではすまない。姪を田舎のどこかに預けると。
前後してようやくに蟄居がとけて登城するようになると、殿の傍での勤め。側室を殺されたことを恨みに思っている殿は冷たくあしらう。老中だかがそれをとりなすようにしていたのだけれど、実はその後の展開はというあたりから面白くなっていくと。
結局いずれ訪れるであろう危機に利用しようと生かしておいて、殿の傍においたという思惑で、さらには、それに乗じて始末してしまえばもはや面倒の種はないという策略。すっかり息も絶え絶えな状態で、もはやこれまでかというところで・・・。
ひとりおじの帰りを待つ姪の腕には赤子がいるという結末は、いささか涙をさそうなあ。
ごめんよ、鳥刺し。というくらいにはよい映画だった。
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コメント
面白かったんですけど、豊川悦司なかなか死なねえな…とヽ(^。^)ノ
投稿: 黒豆 | 2013.01.25 15:56
それは、確かにいえてましたね(^^;
投稿: ムムリク | 2013.01.25 15:59