日本のお正月
正月の NHK の朝は案外楽しみだったりする。問題は、前日つまり大晦日をどう過ごしたかだ。例年ならば、ほどほどで寝てしまうのだが、今年はついさだまさしの夜中にやってるアレ(今では「生さだ」が正式略称なれど)など見てしまったので遅くなり、いささか遅くなってしまうことに。ということで、やや冒頭を見逃すようなタイミングで見た(起きてはいた)。
「奇跡の庭園 苔寺」。ということで、京都西芳寺を特集。確認されているだけでも 120 種類を超える苔が自生しているとか、いたるところに苔が繁茂しており、苔の上にまた苔という場所も多いようで、その厚みが 10cm を超えるようなところもあるのだとか。
苔は強いようで弱いものでもあるので、人が歩いて道をなすような場所は絶えてしまう。橋の上にもびっしりと苔がついていたりすると、なんだか申し訳なくて歩けなくなるのではないかとも思ってしまった。
京都の庭園であるからもちろん専門の庭師さんが、毎日毎日手入れをされている。自生しているらしい竹を毎年切っては 60 本あまりもの竹箒を手作りし、苔の上に落ちた葉っぱなどを掃き清めているとか。時期を選んで刈り取った竹で手作りした箒は穂先も実にあたりがよくて、苔にとってもやさしいのだとか。
そもそもは苔がここまであったわけではもちろんなく、環境が適していたことなどもあって長い年月をかけて今日のような姿になってきた。そして、それを支えてきたのが庭師の仕事。紅葉も美しいらしいのだが、ここでは落ちた葉はすぐに掃き集められてしまう。
外国ではあまり苔を愛でるという感じはなかったように思うのだけれど、近年の盆栽ブームにのってその不思議な美は日本人であるとないとを問わずに感じられるものなのだなと、あらためて思ったりする。
とはいえ、家の周りが苔に覆われてしまうと、それはそれで困ったことになるのも確かなことで、そうでもなくても湿度の高い日本においては、環境によっては苔は邪魔者にされてしまうこともまた止むを得ないのではないかなあとも思ったりはする。
どんなものにもふさわしい場所がある、ということなのではないかな。
晴れた正月の朝。こうした番組をじっくりとゆったりと見られることの、しあわせ。
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