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 [ ピダハン 謎の言語を操るアマゾンの民:地球ドラマチック ]

 なぜ、国政選挙というとかくもテレビ局はどこもかしこも興奮して見境がなくなってしまうのか、というくらいに特番のはいる週末。もちろん重要であることに意義はないですが。

 ということでニュースすらキャンセルして見た「地球ドラマチック」。ここにもまた人類の中に蔓延する権益集団の軋轢が。

 アマゾンに住むピダハンという人々。文明とは隔絶して彼らの文化・生活を頑なに守ってきた。独自の言語は極めて特殊で、数や色を表す言葉が存在しない。量を示す「少ない」とか「多い」「とても多い」といったものはあるが、数えるという概念はない。

 家族が何人などという概念はもちろんない。けれども、誰が誰の家族だということがわかっているから困ることは特にない。

 話す言葉だけではなく、狩りの最中には口笛で会話をする。「あそこに猿がいる」「うん、あそこにいる」「捕まえるか?」「ゆっくり近づく」とか口笛で話している。

 アマゾンの部族に対してアメリカなどからさかんにやってきては、布教を繰り返したものの、ピダハンはまったくそれに感化されることがなかったとか。言語学者でもある男性が何年も彼らのなかにはいり、言葉を覚え、信仰を説いたけれど彼らにはまったく興味のないこと。

 家族とともにしばらく暮らしながらピダハンと交流していくうちに、やがて言語学者はむしろ彼らの生き方のほうが自然でまっとうなのではないかといった気持ちに変わっていく。

 ピダハンには過去を悔やむということもなく、未来を憂えるということもなく、ただただ現在を生きている。川には魚がいるとわかっているし、ジャングルにも食べ物がある。お腹がすけば狩りや漁をしてくればよいだけ。特に不満も心配もない。彼らに神という考え方そのものが理解されない。

 やがて言語学者が彼らの言語を調査した結果を発表すると、学会からは猛反発。これまで信じられてきた普遍的な文法が存在しないと発表したから。そんなばかなことがあるわけがない。これは学会での定説だ。などなど。ピダハンの言葉を理解できる外国人がわずかに三人しかいないこともあって、なかなか受け入れられない。

 さらには、言語学者がこれ以上の調査をすることを阻止するためにブラジルの関係機関に対して働きかけを行い、ピダハンに対して非人道的な行いをする者達だと圧力をかける。

 結果、言語学者の発表に興味を覚えて共同調査を計画していた MIT の研究者ともども現地へ赴くことができなくなった。

 MIT の研究者は記録されているピダハンの会話録音を分析する。結果、そこから導きだされたのはやはりリカージョンと呼ばれる普遍的な文法は見られないというもの。しかし、反発する言語学者らからは、その分析は誤っていると認めない。

 本当に既得権益を死守しようとするのは、あらゆる人間社会に蔓延している。

 言語学者がピダハンの地を訪れることができない間に、ブラジルは彼らにどんどん文明をもたらしてしまっている。水道、電気、機械、なによりも学校。ポルトガル語の教育。もはやピダハンの文化は存亡の危機なのではないかという感じも。

 今きちんと彼らの言語、生活、文化といったものを記録していかなければ、もう二度と蘇らせることなどできないのに。

 いつの時代も異端は疎まれるのだなと。

追記:
 ちょっと忘れていたことを追加。

 偉い言語学の権威の先生が言って、定説になっているのはリカージョンということだそうで、簡単には文章を延々と長くしていくことができる文法を持っているということなのだとか。それが普遍的な文法なのだと。そしてそれがピダハン語にはない。というのがピダハン研究者の論文。

 「科学が信仰になってしまったら、もはやそれは科学ではない」といった言葉が印象的。

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