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中夏

 NHK スペシャル「中国文明の謎」全3回を見ると、なるほど中国という国は昔から今にいたるまで見事なまでに変化しない国なのだとわかる。

 その中国を形作っている原型は「中華」という思想にあって、その誕生は夏王朝の時代であったと。というか、本来「中夏(ちゅうか)」であって、それがやがて音の同じ「華」の字を当てられるようになったのだと。

 夏(か)のあったのは中原(ちゅうげん)といわれる中央あたり。我々こそが中国(この時点では中国という概念ではないのだろうけれど)の中心である、といった思想で支配を強める。武力を持って支配を広める。

 しかし、その夏(か)もやがて殷に滅ぼされる。殷もまた強大な武力で持って支配を広げる。ただ、ここで誕生したのが漢字。記録として生まれたというよりも(いや、記録は記録であるのだろうけれど)契約として残すことを目的としたらしいと。

 あらたに攻め落として支配下においた小国にたいして契約書(書面ではないけれど)を作る。守ってやる代わりにこれこれしろとかそういったことが記されているらしい。

 殷もまた中原に位置していて、我々こそが中国の中心であり、偉いのだという思想で、周囲の小国は蛮族として見下していた。東夷、南蛮、西戎、北狄。日本の東の端にある野蛮な国としか見ていなかったようで。

 そこへ表れた秦は実は中原よりは西にある西戎と呼ばれた地域に属した小国。それが中原に戦いを挑んでいくうちに周辺の小国と手を結んで殷を倒すと。実のところ殷の軍勢は人数が多いというだけで軍隊としてきちんと組織・訓練されていたわけではなかったために、混成の大部隊を前に逃亡してしまったとも。

 そのためあっけなく殷は滅んでしまったと。秦は中原の場所をみずからの土地にまで広め、むしろそここそ中央であるという思想を作る。そのため利用したのが天であり、北極星などを利用して威厳を高める。

 周囲の小国を吸収していくが、いわばこれまで田舎だった秦に支配されるのは我慢がならないという小国をうまく治めるために生み出されたのが中華思想で、我々の仲間になればおまえたちの国も中華のひとつになるのだ、中華の人間になるのだと、言ってみればごまかして懐柔していく。

 仲間になれば中華という偉い仲間になれるのだ、とそそのかして自分たちの仲間になれという。そして仲間で中華以外は野蛮で低俗なやつらなのだとふんぞりかえる。そしてそこには当然漢字を使った契約文書が伴う。

 夏(か)、殷と少しずつ醸成された大国化するためのシステムが秦によって中華というシステムに育てられる過程。

 中華である我々こそが宇宙の中心であり、高貴であり、周辺の野蛮なものどもは支配してやらねばならないといった政治感覚は、あるいは今も厳然と残っているのではないのか、とも。事実王制が滅びたあとにまず考えられたのは中華思想であったと記録にあるとか。他民族国家としての中華が今後も存続しなくてはならないと。

 番組を作ったのは春から夏くらいにかけてなのだろうけれど、まさか今年これほどまでに日中間が面倒なことになるとは思わなかっただろうなと。そして、意外にも、あまりに時期を得た番組になってしまったということが、なんとも皮肉な感じにも思えてしまうのだった。

 あんまり怖いので、きょうあたりは中華饅頭でも食べてしまおうか。

追記:
 周のことをすっかり失念していたようなのでそのあたりの修正、追記をこちらで。

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