分からないから面白い
E テレの「地球ドラマチック」が面白そうだったので見たら、やはり面白かった。1998 年だったかにクリスティーズで競売にかけられた小さな絵画が、ひょっとするとダビンチによる作品なのではないか? ということを追ったドキュメンタリー。
フランスだかからやってきたというバイヤーがカタログを見てなにか感じるものがあったといい、落札するつもりでいたのだが、想定以上に値があがったので断念。しかし、その後数年してとあるギャラリーだかで見つけて購入。そうしていろいろするうちに、「これってダビンチなのでは?」という疑いが。
絵そのものは女性の横顔を描いたもので、年代的にも古そうなもの。ヴェラムという上質の羊皮紙にチョークで描かれたというもので、あまり例を見ないものだとか。
まずは放射性同位元素測定による年代測定。結果はダビンチの時代と合致。さらに超精細なカメラでいくつものフィルターも使って撮影した画像からの解析で、左手で描かれたものであるとか、ラインの修正の具合とかからダビンチの特徴に非常に近いということがわかってくる。
ところが、そんな莫迦なことがあるかという学者が多数をしめていて、とある研究者はそれならばと描かれた女性の素性を探すことに焦点を切り替える。結果としてとある高貴な女性が浮かびあがり、それはダビンチとも関連のある女性。
さらには絵の左側に奇妙な傷が3つついていることに注目し、ことによるとこれは本の一ページだったのではないかと想像。情報をたどってその一族の関係する本を収蔵しているところを訪ねて検証するとあきらかにおかしなページを発見。詳細に調べると一ページなくなって残ったページを隣のページに糊付けして固定していることが判明。
最終的に綴じ目を確認するとぴったりと符号。まさにその本のその場所にあった女性の横顔の絵だけが切り取られていたことがわかる。
執念というか、探求する楽しみというか。
ところで、否定派のとある教授が、「本の中にそんな絵を使ったなど聞いたこともない。仮にそういうことがあったとしたら、裸で逆立ちしてみせますよ」と笑っていたのだったが、ぜひ裸で逆立ちしていただきたいものだなあ、などと思ったが、さすがにそれは含まれていなかったし、ギャフンという映像もなかった。残念(笑)。
番組ではその本の一ページであったことまでははっきりしたが、まだダビンチの作であるという確かな証拠まではたどりついていないようで、まだまだ探求が続いているのだろうなあ。
謎や疑問に取り組むってのは、やはり面白いことだよなあと。それがどのようなものであっても。
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コメント
効率的に調べ物をしようと思ったら事前情報に拠る推理も必要でしょうけど、同時に先入観に支配されず虚心坦懐に臨むことも有効ってことですね。
それにしてもそんな時代の本が現在もきちんと残されていることがすごいですねえ。
現代の作品も何百年も後の世界でそうやって謎として扱われる場合があるかもしれないと思うとワクワクしますね(^^)
投稿: tako | 2012.11.18 12:16
昔の本は素材も造本も今一般に流通する本とはまったく違っていたことを思うと、現代の本が数百年後に残る可能性というのはどれほどなのでしょうね。
近頃の E テレの CM ではないですが(この頃はアイキャッチがはいるのですよねえ)、「知らないってワクワク」は確かですね(^^;
投稿: ムムリク | 2012.11.18 15:41