D-boxの示すベクトル
最近毎度になってきた感のある「夢の扉+」から。先日は進化した土嚢 D-box というのを紹介していて、なぜいままでそういう発想をする人がいなかったのかと思ったくらいに単純にして効果的なアイデアだった。
そもそも土嚢というのは圧力がかかるほどに固くしまってくれるという特性があるそうで、袋の素材としての耐久限度はあるのだろうけれど、見かけからは想像できないくらいの力に耐えられるらしい。袋にただ土を入れただけでしょう? といったイメージが覆った。
ところがそんな土嚢も軟弱な土地に置いてもその効果がでないそうで、つまり下が固い面でなければ実力を発揮することができないのだとか。ゆえに、沼地というかぬかるんだ土地に置いても効果がでない。
そこで父の会社を引き継ぐことになった元数学者が考えたのが D-box という巨大な厚揚げみたいな土嚢。自らが固さを保持するように作られており、高層ビルの重さにも耐えられるとか。
これを使えば、軟弱な地盤の上にある道路などでなんど補修してもすぐにゆがんでしまい困っていた道路とか、地震などによる液状化で傾いてしまった家屋などの補修をどうするかというあたりにも応用ができ、現在実際に使われていたり試みられていたりするらしい。
構造としてはいたって単純で、なぜ土嚢が固くしまるのかということを力学的に自己実現できるような仕組みを作ってあげただけ。すなわちはベクトルということで、数学でもあるし、物理学でもあるしというところか。
ゆがみのでてしまう道路での大規模な実証工事が今なされているとかで、その有効性がさらに確かなものになりそう。
さらには、最終的な製造工程を障碍者施設の作業場に委託したりしてもいるとか。構造そのものは単純なので材料の準備ができればあとは割りと簡単にできるようで、そうした作業場への仕事を増やすということにも貢献しているらしい。
それでいてまずは使って確かめてもらわないことには始まらないということで、ロイヤリティは取らずにやっているとか。よって利益はさほど出ていないらしい。
ちなみに土嚢につめる土砂などには、道路であれば剥がしたコンクリート片などを細かくして使ったりと無駄を排除することもできていると言う、もう一石なん長なんだという製品。
国としてこういう人たちにもっともっと支援や評価をして欲しいものだなあ。
| 固定リンク
コメント