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「インサイダー」

 どうもインサイダー取引という言葉の印象から悪いイメージが先行してしまうインサイダーという言葉。 まあ、今風に言えば「なかの人」といったところで(もちろん、派生した種々の意味合いはあるにせよ)、ことさらに悪いイメージの言葉というわけではないのに。

 映画の存在に覚えはあるのに見たことのないものはたくさんあって(もちろん、小説をはじめとした書籍もまたそうなのだけれど、これはまあ過去における職業ゆえといえる部分も)、「インサイダー」もそのひとつ。 ちょうど見る機会を得たので見たらなかなかに重いなあと。

 それにしても不思議なのはなぜ人が作った企業・会社というものが、さながら生き物であるかのようにひとつの主張や格、思想のようなものまで持ち合わせ、自らの 反映 繁栄 を求めるがゆえにヒトのそれをないがしろにすることを厭わないのだろうかと。

 確かに経営陣といわれる意思決定機関に属する何人かの人がいるのだろうけれど、しかし、それは別々の個体であって一個のものではない。 合議によってというかもしれないけれど、それによってもたらされるある意思というものは、本当に彼らの総意なのか? 本当はその企業・会社というヒトではない実態としてのなにかによって操られた結果なのではないのか? などと思ってしまったりするくらいに。

 法人というのはあくまでも概念的なところのものだと思うのだけれど、ある程度大きくなってくると、それはいつしか目に見えない不思議な実態を持った何かに変わっていくのではないか。 さながらそれはお化けとでもいうような。

 「これは会社の決定だ」と言う時に、では、その会社とは誰なのかといって誰でもない。 社長のことなのかといって、必ずしもそうとも思えない。 複数の経営陣全体なのかもしれないが、それもまた幻のような気がする。

 にもかかわらず、そんなとらえどころのない何かに人の運命も生命も脅かされ、侵されてしまうことの不条理というかは、いったいなんなのだろうな。

 映画の展開について思うのは、今であればネットに流してしまえばということなのかもしれない。 近年そうした事例はいくつもでてきているし。 ただ、だからといって本当の意味で有効な結果がもたらされたかといえば、それはまたそうとも言い切れず、やはり内部は闇なのだなあと思わざるを得ないか。

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