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「こころ」

 何度もなんども繰り返し読んだのもあってか余計に思うのかもしれないけれど、若い頃に読まなくてあるいはよかったのかも知れないと思った。 先生の境遇が自分に重なってきていたたまれなくなっていたかもしれない。

 もちろん先生と同じ境遇であったというわけではないけれど、いろいろ思うところがある。

 正直読み終えても「こころ」というタイトルのやや曖昧な感じと、それでいてこれ以外のタイトルではやはりしっくりこないのかもしれないとも思ったり。

 親も頼んでいた叔父が実家の財産を使い込んでいたとか、友人からお嬢さんへの恋心を打ち明けられておきながら、その友人に隠れて自らのためにお嬢さんを妻に迎えたいと談判してしまったり。 あげくあっさりお嬢さんとの結婚が決まったものの、それをなかなか友人には直接打ち明けられず、それを知った友人が煩悶のすえに自らの命を絶つ。

 やっかいなのは常は善人であるのに、金がからむと悪人になるということだというのは、時代を経ても哀しい現実。

 小説として不可思議な部分としては、友人の墓に妻をまだ連れて行ったことはないのだと先生は言うのだけれど、最後の手紙の中では結婚後すぐに一度ふたりで参っている。 書生時代と大学生の時代とは別物のように書かれているのだけれど、このあたりもやや分かりにくい感じはあるなあ。

 最後の手紙はあまりにも長大すぎて、確かに通常の封書には収まらずにどうこうしてあったという表記はされているのだけれど、もはや小包の域であろうなという分量であることは、読んでいてわかる。 構成の中で一番長いのだから。

 やはり、若いうちにはあまり読まないほうがよい作品なのかもしれないなあ。 ある意味、刺激が強いので。

4087520099こころ (集英社文庫)
夏目 漱石
集英社 1991-02-25

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