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上へ下へと回って回る

 近年増えているように感じているのが「上回る」「下回る」という表現。 たいていの場合にその使われ方そのものは間違っているわけではないのだけれど、あまりに多用されるとどうもイライラしてしまう。 単純に「高い」とか「低い」とかでもよいのではないか、という時が多いからということなのだと思うのだけれど。

 で、明らかにそれは違うだろうというのもあって、

きょうの最低気温は 10 度 8 分と 11 度を下回りました。

 などというのを聞くに及んではげんなりとしてしまう。

うわまわる【上回る】

[数量や出来ばえが]予想された水準を越した状態である。

したまわる【下回る】
[数量や出来ばえが]予想された水準に達しない状態である。
新明解国語辞典第四版

 当初の予想気温がそれであったのだといえば、この水準という意味合いになりそうでもあるけれど、なにも下回ったなどといわなくても足りることではないのかなあと。

 基本的にはたとえば前年の統計的な数字と比べてどうなのであるか、とかいった比較対象となるものがあって、それに対してどうであるのかということから「上回る」とか「下回る」とかいうのであって、そうしたものがない状況で、単純に(いわば勝手に比較対象とするものを作って)比べているときにまで使用するのは、ちょっと違うのではないかなあと。

 さらに言うと「下回る」「上回る」というのは実に言いにくい言葉なので、時として口がうまく回らずにおかしな言葉になってしまったり、異様なくらいにゆっくりと間違えないように発音しようとしたりするわざとらしさが、またよろしくない。 そのくらい連続して多用することが目に付くようになってきた。

 そんなことなら別の表現でよいではないか、と思うのだけれどなあ。 これではまるでなんとかのひとつ覚えのような状態なのだが、NHK としてはマニュアルにあるからその表現を多用するということなのだろうか。

 「今日を上回って」などと言っているよりも、「今日よりも高くなって」とかでもよいのではないか。 字数が増えるから時間内に言えないというかもしれないけれど、そうでなくても間に合わない例は多いわけで、より分かりやすく、いい間違えることも少ない表現でもよいのではないかなあと。 少なくともあまりに連続して多用するのはもうやめてほしいなあと思うのだけれど。

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