学問のすすめ
続く青空文庫読書。 明治早々の著作というのになんと今にあっても古びないのだろうかと。 いや、今の時代こそ読んだほうがよいのではないかという人は、あるいは相当に多いのではないかなどともこの頃の世間を見て思ったり。
当時の文体ということもあり正直に言って現代の人間にとって読みやすいかといえば否というしかない。 ただ、この時代の文体というのは実に声に出して読むと実にしっくりくるものだったのではないかと、改めて感じる。 つまりは漢文調ということなのかもしれない。
そんなこともあるのであまりに若いうちではなかなか内容がしっくりとこないのではなかろうかと。 中学生くらいでも大半にとっては、あるいはまだ早いかもしれない。 むしろ成人してからくらいのほうがふさわしいのかもしれない。
ただ、大人になってしまうとそうした新しいものを取り込むという柔軟性に欠けるようになってしまうので、そのあたりの問題というのはあるわけだが。 そのあたりを控えめにしっかりと受け止める気持ちさえ持てば、むしろ硬化した大人こそ読み直すべきものかもしれない。
それほど現代にも通ずる社会と国民との関係といったものを懇切丁寧に説いてくれている。 一部学者向けに難解になっている部分もあるけれど、自らここだけはごめんね(意訳)といったコメントまでされて、他は広く国民にたいしてわかりやすい論を展開することに努めている。
繰り返し、繰り返し、国家と個人についてや学ぶということについてなど、例示をしながら何度となく繰り返されるので、自然と理解も深まるというものではないかと。
この頃はネットツールの普及もあって一個人が物を言うことが増えているけれど、ただ言えばいいというものではないというあたりの論は一読しておくべきではないかなと。
温故知新というのはまさにこういうことなのだなあ。
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現代語訳というのもいまはあるのね。
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