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フラクチャー

 刑事コロンボでおなじみ(といっても最近ではもう理解してもらえないのかもしれないけれど)の倒叙形式で描かれているサスペンス。

 航空機の事故調査などをやっているらしい男が仕事をさっさと切り上げて帰ってくる。とあるホテルのプールでは彼の妻が男と情事を楽しんでいる最中。ホテルの部屋に忍び込む男。夕刻になって妻が家に帰ると男が暗い部屋のなかで待っていてギョッとする。すべて知っているぞとばかりに遠回りな会話をするふたり。振り向きざまに妻を撃つ男。庭師が音を聴きつけて心配してやってくる。妻の遺体を移動させ窓ガラスを撃ったりする男。

 やがて警察がやってきて交渉がはじまる。君だけはいってこいと男。遺体を確認して驚愕する交渉役。妻はよかったかい? みたいなことを言う男。妻の情事の相手はその交渉役の警察官だった。しかし、それは黙っている。

 そして裁判。自供もある、拳銃もある、どうみても男が妻を撃ったことに間違いはない。簡単な裁判だと検察側。男は弁護士はいらないといって自ら弁護をする。はじめはなにもしようとしない。そして、交渉役の警察官が証人にたったときに、はじめて妻との情事の相手であることを明かす。裁判は中断。自供をとった取調べにもその警察官が同席していたため、自供は認められない。

 すべてが一気に逆転していく。押収した拳銃も実は発射された痕跡がない。結局、これ以上男を有罪にする材料はいっさいなくなってしまい無罪放免となる。一方で妻は一命をとりとめたが、意識を取り戻す見込みはない。妻が死んでしまえば唯一といっていい証人を失うことになるが、男は法的な手続きを進めて妻を安楽死させる。

 すっかりもてあそばれてはめられたと憤る担当検事。そして最後のどんでん返しへとなだれこむ。

 DVD にはなっていないのだそうだけれど、これはなかなかに面白いのにもったいない。いやまあ、そういう面白いものだからこそ DVD とかにしないという選択もまたあるのだろうけれど。

 アンソニー・ホプキンスがさながら「羊たちの沈黙」のレクター博士のようでもあり、飄々としてそれでいて抜け目なく計画していたあたりがなんとも心憎い。正直最後のくだりはなくてもよいのではないかと思うのだけれど、やはり世間的にはそうしないとまずいってことなのかもしれない。

 タイトルの意味も砕けるとか壊れるという意味だけでなく、スラングのほうの「いい気持ちにさせる」なんてのも、なにやら暗示的でうまいなあと思ってしまう。

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