クリップ:「その後とその前」
感想のほうにあまりあれもこれも引用するのもなんなので(まあ、過去にはそういう傾向もあったのですが)、今回は別にメモとしてクリップ。そのままにするのももったいないので(それほどのことではないか)。
さだ:今、押しなべて、ならしていきますよね、子供たちを。寂聴:あれも間違ってますよ。
さだ:ですよね。
寂聴:だって、走ってってね、徒競走のとき、あ、旧いね私たちの時代か(笑)。徒競走して一番になったらいけない。みんな揃ってゴールに入れ。そんなバカな話ってないでしょう。
(P.30)
寂聴:日本の作家ってね、死んで二年持たないんですよ。(P.33)
寂聴:自分がわからない。だから、何をしていいかわからない。私は、何をしていいかわからないっていうのがわからないんですよね。それは。人間は何でもできると思ってるから。だからわからないのよ。(P.71)
さだ:これは日本人の美徳だと思いたいんですけど、辛いときに笑うんですよね。(P.76)
寂聴:どうしてあんなにつまらなくなっちゃったの? あの人たち(笑)。さだ:僕なんかようやく気づいたのは、自民党は要するに政党ではなくて、政権担当集団に過ぎなかったんですね、あれは。(P.90)
寂聴:日本の仏教の葬式ていうのは、これは出家させることなの。(中略)出家した者でないと、あの世に入れてやらないの。(中略)それみんなわからないから、何だか知らないけど、死んだらあんな長い長い戒名をつけて(笑)、金取られるって思ってしまう。(P.111)
寂聴:私が出た徳島の女学校はね、卒業する前にちゃんと専門家を呼んで、全員にマッサージを習わせるの。(中略)それでね、夫を揉みなさいというのかと思ったら、お嫁に行ったら舅と姑を揉みなさいって。(P.114)見事な処世術であるなと。
寂聴:今の既成仏教は、できたときは全部新興宗教だったんだからね。(中略)それがよかったから残ったんでしょ。だから、今だって新興宗教、私は決して悪いと思わないんですよ。ただ、今の新興宗教はなぜかしら、すぐお金を集めるのね。それで、すぐ大殿堂が建つんですよ。(P.117)
寂聴:私はよく言うんですけど、悲しそうな顔してお通夜みたいな顔してたら、それは不幸がそんな顔好きで寄ってくるって。(P.124)
さだ:最近は「意見には個人差があります」ってごまかしで逃げてるんですけど。(P.127)夜中にやってる”あれ”で使い始めたのは NHK 的な配慮というのもあるのでしょうが、ところが NHK のアナウンサーさんとかでもニュースの中でそういう断りはなく私見を述べることが、このところ増えているのは問題ないのかしら? とは思うこのごろ。
さだ:そういえば最近の歌で気になることは、女の子が男に「きみ」って歌うんですよね。(P.131)
さだ:で、カエルを釣って叩き殺して、死んだカエルを並べたりしてましたからね。寂聴:子供はそういうことやるわよね。
さだ:やりますけどね、今それをやらないんですって。残虐性を発揮できないまま、体だけ成熟しちゃう。頭は成熟していない。だから、自分より弱い者っていうのを、僕らが昔カエルを殺したみたいに、もしかしたら自分より弱い者にその自分の残虐性をぶつけてしまう対象が人になってる可能性はあるなと思います。(P.133)
子供自身がそうした残虐行為を幼い頃にしなくなったり、さらには子供を叱ることをよしとしない社会風潮とかも将来に多くの不安をもたらすものではないかと。
寂聴:でも、私ね、その神戸のとき行って、自分の足で歩いて、もう本当に大変なところで、泣いてる人もいたし、呆然としてる人もいたし、そういうのを見てるでしょう。あのもうメチャメチャになった神戸が、今もうどこにそれが残ってますか。(中略)だから、本当に日本人ってすごいと思った。だから、今度も私はね、時間がかかるかもしれないけど、絶対に立ち直れると思いますよ。(P.142)
寂聴:そういう家族になったのね。子供が何をしてるかわからないし、親の愛なんて感じる暇ないよね。でも、義務は果たしてると親は思ってる。「ご飯は食べさせてますよ」って言うんだけど、それはコンビニのご飯でしょ。それは違うのよね、子供にとっては。さだ:犬飼うのと変わらなくなっちゃってますね。
寂聴:そうそう。餌よ。餌を与えてる。だから、家庭の中はそりゃ冷たいじゃない。帰ってきたくないような家ですね。(P.143-144)
さだ:給食代は親が出してるから、「いただきます」と子供が言うのはおかしいという理屈。親がちゃんと出してるじゃないかと。根本的に感謝の気持ちが欠落してるんですよね。寂聴:ほんとに、感謝の気持ちがなくなっちゃった。「いただきます」の意味がもうわからないのね。(P.164)
寂聴:だから、想像力があって相手の気持ちがわかる。それが愛ですからね。だから、相手が何を欲してるかってことを察してやるのが愛ですからね。だから、想像力、イコール思いやり、イコール愛。(P.178)
さだ:宗教では大概セクシーなことっていうのは、ないことにしちゃうじゃないですか。寂聴:いや、もうそれはいかに魅力があるかということを・・・。
さだ:宗教よりいいんですね(笑)。
寂聴:もう釈迦もキリストも経験してる。良さを御存じ。
さだ:宗教よりいいからですね。自分はしたのに人にするなって(笑)。
寂聴:(笑)(P.193)
そこでそれを宗教にしてしまう新興宗教がでてきたりするわけです。
寂聴:人間はね、自分のできないことをする人は尊敬するの。自然に頭下げて。さだ:それはたしかにそうです。おっしゃる通りです。
寂聴:そうでしょ。だから、せめてそれをしなければ、人に尊敬してもらえないのよ。
さだ:出家したらね。
寂聴:はい。だって、みんながすること全部してたら、しょうがないじゃないの。(P.198)
本当の意味で尊敬できる人というのが、今は絶滅危惧種くらいになりつつあるのかもしれない。
![]() | その後とその前 瀬戸内 寂聴 さだ まさし 幻冬舎 2012-02-24 by G-Tools |
| 固定リンク
コメント
勉強になります。ありがとうございました!
投稿: もんた | 2015.08.05 18:21