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山のあなたの

 NHK 「地球イチバン」でブータン。いつも(だったか定かに記憶してないけれど)幸せを感じるといった人が九割を超えるとか、冒頭にいくつかアンケートの結果を報告していた。ほぼすべての人が幸せだと感じているし、他人をうらやましいとかいう気持ちもないし、ねたむわけでもない。常に助け合って暮らしているという人もほぼ全部。

 そんな素敵な国であるがゆえに、逆にわずか数パーセントという「幸せでないと思う」人というのはどのような人で、あるいはどのような状況で回答したのかと、そちらのほうに興味があるのだけれど、当然番組としてそういう方向には進まない。

 電気も一部には届いているので電化製品のある暮らしというのもあるのだが、動物や自然の姿を尊重することからあえて電線をひくことをせずに、昔ながらのランプの暮らしを守っているという話もあったりして、身につまされるようなところも。

 もっとも、そんな家を紹介したときにすでに電気メーターボックスが見えていたので、すでにあったのではないか? 番組的にはそれはあとのこととしてという演出があったのではないのか、などとも思ってしまうのだけれど。いずれにしても動植物に配慮して地中に電線を通す工事が進んでいるということは確かなようだ。

 まあ、それはともかく。

 ブータンの役人が言う、「幸せというのは長期的な満足のことで、それはつまり安心が確保されているということだ」との言葉や、「幸せを探すのを止めたときにそれはみつかるのだ。幸せはわたしたち自身の中にある」という言葉は文明にかぶれた多くの現代社会に巨大なくさびを打ち込むかのようなインパクトがあったなあと。

 さながらそれは小さな星からやってきた王子にきつねが言う台詞みたいではないかと。

 欲しい物を手に入れることは嬉しいけれど、それは幸せとは違う。機能や性能のよい製品を作れば、次にはさらにそれよりもよいものをといってきりがない。そういうものは幸せとは違うのだと。

 恐らくは冒頭のアンケートでごくわずかにあるそうでない人々というのは、あるいは他の社会の生活・物質へのあこがれが生じて、次第にそちらへ流されつつあるブータンの動きを暗示するのかもしれない。あるいは、そうではないのかもしれない。

 それがわかるのはもうしばらく先のことなのだろうが、一度動きはじめたものは、さてどうなるだろう。

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