ずれた本質
NHK 「クローズアップ現代」で、卵子の老化とかいう話題を扱っていた。いわく、そんなことがあるなどとはじめて知った。どうして学校その他で教えてくれないのか(といった論調)、知っていたらもっと早くに結婚・出産を考えた、などなど。さらには、あるアンケートでは 45 歳以上でも問題なく妊娠できると思うと答えた未婚の女性が 25% くらいいたし、40 歳以上でも大丈夫というのとあわせると半数くらいになっていた。
大丈夫ですか? 日本人。
卵子の老化ということじたいはわたしもはじめて耳にしたけれど、人の体が老化する以上卵子とて同じことだというのは知らなくても想像はつくであろうし、理解はできることでは。まして、閉経の時期は人それぞれにばらつきがあるとはいえ、早い人なら 40 代くらいから、遅くても 50 代ともなればやってくる。ある日突然に機能が停止してしまうというようなことはないわけで、それ以前から少しずつ不調というか正常な働きを失っていくということもまた想像がつくこと。機械が故障したり、経年変化で駄目になることを思ってもわかるはず。
にもかかわらず、いつでも問題なく妊娠可能みたいに思っているのはちゃんと教育を受けた人々なのだよね?
番組では卵子の老化ということを知らせてこなかったことを悪者にしている向きがあったけれど、そういう問題にすりかえていては問題は解決しないと思うし、その程度の認識しか持てないというのはなんとも情けないことに思うのだけれど。
社会が変わってきているので、産みたいときに産みたいのだという気持ちは理解できないわけではないけれど、ヒトが動物である以上は必ずしも思うようにならないのは当然のこと。無理やりそれを医学がある程度可能にしているけれど、それはあくまでも無茶をしているのだということを認識しなくてはいけないのではないかなあ。
若くして出産しても、子供を預けて働くことができないなど、経済的にも社会的にも子育てがしにくい状況を改善しなくてはならないこともあるのだけれど、この認識がある限りは一事が万事で社会の未来に不安を覚えてしまう。
卵子の老化などということ以前の問題だと気づかない間は、なんの解決にもならないと思うのだけれど。違うだろうか?
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