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「ブラス!」

B005SVMFGSブラス! [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント 2011-12-09

by G-Tools


 なんとなくタイトルには聞き覚えがあって、映像的にもわずかなイメージがどこかに残っているようなのだけれど、見たことはなかった。「ブラス!」という映画。これは見るべきだなあ。

 イギリスの炭鉱の町。次々と閉鎖されていき、自分たちのところも会社側は閉鎖しようとしている。組合ではそれに反対しているが、なかなか旗色はよくない。そんな工員たちが集まってブラスバンドを組み、日々練習している。けれども、貧乏なのできちんとした楽器が買えなかったり、生活するだけでも苦しいのに遠征費などとても出せない。

 若手のメンバーの幼馴染の女性が仕事で町にやってきて、練習するならバンドと一緒にやればいいと教えられて臨時に参加する。なかなかの腕前。さらには若くてなかなか美人。「バンドは辞めてくるんだよ」と上さんにいわれた旦那も「やめるものか」と手のひらを返す。

 地区での大会で優秀な成績を収め、次を目指すぞというときに、まさに会社は炭鉱の閉鎖を決定。仕事できていたという女性は実は会社の一員で、炭鉱の価値評価をするために派遣されたのだった。しかし、それは形をとりつくろうためのものでしかなく、閉鎖はすでに二年前に決定したと言ってのける経営側。

 炭鉱の閉鎖、そして指揮をつとめてバンドをひっぱるダニーの病、他のメンバーにもいろいろの苦難が起こり、遠征費用を出せないことから参加は諦めようとするが、自分の評価はまったく意味をもたないものだったとわかった彼女が会社をやめ、遠征費用を引き受けたことで、ダニーのためにも参加するぞと大会に向かう。

 演奏の途中病院を抜け出したダニーがこっそりと姿を見せる。無理をして楽器を新調したりもあって見事にチームは優勝。そのスピーチでダニーはトロフィーの受領を拒否すると言う。「この国はイルカやクジラには手を差し伸べるが、われわれ労働者には手を差し出してくれない。われわれは正直でよく働く。けれど国はそうした労働者に眼を向けてくれない」といったことを静かに語る。

 イギリスではほとんどの人が子供の頃からなにかしらの楽器を演奏するそうで、ブラスバンドは盛んらしい。小さな町でもバンドがあって生活の一部になっているらしい。

 音楽があれば生きていけるといっているわけではない。それでも、音楽があるので生きていけるということもあるのかもしれない。会社には会社の都合や論理があるのもわからないではない。けれども労働者があっての会社でもある。社会でもある。

 なんだかいろいろと考えさせる映画だった。それでいて、ブラスの響きがいつまでもあとに残るのだった。音楽っていいなあ。

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