借りか、狩りか
なんとなく自分のなかではジブリ幻想が解けてしまった感があって、もうずいぶんと映画館で見ることのなくなったジブリアニメ。それでも相対的な品質としてはよいものもあるので、テレビ放映されるときには未見の最近作を見るというパターンが続いている。
ということで「借りぐらしのアリエッティ」を見た。いろいろなくはないけれど、アニメ映像としたら「ゲド戦記」よりはよほどきちんとしているので評価されているのも頷ける印象。もちろん、物語の展開という意味においては脚本に無理がありすぎる嫌いもあって、作品を十分に描けたかというと問題は残ったようす。
男の子がアリエッティに突き刺すきつい言葉の意味するところであるとか、なぜ家政婦のおばちゃんが執拗に小人に対するのかとか本当はきちんとしたバックグランドがあるらしいのに、それがないままになっているので非常に嫌な感じが残ってしまうところが多々あるところなどは。
「借りぐらし」と言っているが実際は盗みでしかなく、というか食料などをとってくることを称して「借り」というのはやや奇妙で、見ていて台詞から感じたのは「狩り」と言っているのかと思ったくらいなのだった。原作についてはわからないのでなんともいえないけれど、床下に家を持って暮らしているのは、まさに「借りぐらし」であろうかと思う。住居を借りているだけで、他は借りるという表現には合わないのではというのはある。
総じて時間はそこそこあったにも関わらず、描いていたのは中途半端な状況説明と、自分が人間に見つかってしまったので引越ししなくてはならなくなり、引越しするまでを描いただけで、もう少しどこをどう描くのかを明確にして内容を取捨選択しなおしていたらという感じも。まあ、いずれにしても 2 時間あまりのなかであれもこれもは無理ではあるので。ややピンボケになってしまった感は否めないかと。
ただ、それでもなお映像作品として、アニメとしてはよくできていたのではなかろうかとは思うわけで。やや控えめなところではあるけれど。
その意味では評判がそこそこよかったらしい「コクリコ坂から」も来年あたりのテレビ放映でもみて考えてみたいかなと。
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