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真に冷静であるということ

 震災から半年あまりを経て NHK が積極的に地震や津波、原発事故関連についての検証を行っている。NHK スペシャル「巨大津波 その時ひとはどう動いたか」は実に丹念に調査検証していて有益だった。名取市閖上(ゆりあげ)地区での人々の行動を丹念に調査し、それを分析。どのような特徴が見られたのかを考えていた。

 もちろん「正常バイアス」とか「同調バイアス」とかはすでに専門家の間においてはわかっていることであるし、時折なにかの情報として話題になることもあったのだから、今更という現象であるのも確か。ただ、あらためて現実の事象としてこれほどの大災害においても確認できるのだということを、多くの人がきちんと理解することが必要なのだと感じる。

 なにごともない、大丈夫なんだと思い込もうとする心理もよくわかるし、なんとなくぼんやりと雑事を続けてしまうという行動もやむをえないことなのだろうとは思うけれど、やはりそのあたりはひとりひとりが意識を改めていかなくてはいけないのだろうなと。

 愛他行動についてもそうした意識が働くことを責めることはできないだろうし、おそらくはそうした行動にでてしまうのも自然なことなのだろうとも思う。親が子供を思うのは当然のことであろうし、日ごろから面倒見がよい人であったりするならお年寄りが気になるというのも無理からぬこと。番組に登場してくれた男性も、もしも諦めて先に逃げてしまっていたら一生後悔することになったと思う、とは言っていた。

 ただ、非難するつもりではなくあえていえば、その行動がむしろ犠牲者を増やしてしまったという結果もまた重く受け止めなくてはならないのではないかなと。20 分以上にわたる説得を諦めていたら奥さんまで亡くすことはなかったはず。どちらがよりよいなどということは間違ってもできないとは思うものの、考えておかなくてはいけないことではないかとも思うわけだ。

 現に「津波てんでんこ」という言葉が話題になったことでもある。互助の精神は確かに美しいし、失ってはいけないとも思うけれど、確実に安全を保障できる範囲内にとどめ、それ以外の状況にあってはそれぞれが行動する以外にはないのかもしれない。

 少なくともこれから復興される町作りにあっては、そうした弱い立場の人々が迅速に避難できるような工夫、あるいははなから避難しなくても大丈夫な土地に生活できるような考え方が活かされるべきなのかもしれない。

 個々人としては、災害時にはまずは慌てることなく正しい情報をきちんと入手する努力をし、迅速に行動するという習慣を身につけなくてはいけないのだろうなと。

 そんないろいろを思わせてくれる有益な番組だった。それだけにもっともっと多くの人が見る機会をもって欲しいなと。そして、こうしたことがきちんと教育や行政・政治に反映されるといいなと。

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