圓の錬金術師
中国の統一通貨「元」の誕生は日中戦争にあったのねと知り、さらにはいわゆる円マーク(¥)と同じもしくは類似のマークを使って表記しているので、日本人が中国に行くと勘違いすることがある、なんて話を聞く理由もなるほどとわかったのだった。NHK スペシャル「圓の戦争」。
日本には資金がなかったのでそれをなんとかしようとまるで手品のように生まれたのが、現地中国の傀儡銀行との預け合い契約というものだったと。実際には預け合いといいつつも、日本円が実際に動くことはなく、現地銀行に膨大な紙幣を作らせてそれを軍の資金にしていたと。現地の人々は強制的にその紙幣を使うことを強いられていまだに嫌悪感をあらわにしていた。
そうしてどんどん作るものだから価値はどんどん下がる。一日のうちにどんどん価値が下がり、食料すらまともに買えない状況に陥っていったとか。にも関わらず陸軍はさらに侵攻を深めてはあらたに預け合い契約を結び、いわば幻のような紙幣「圓」をつくり続けたと。
一方でアメリカでの物資購入資金もないとなると、金での購入をし、その差益を隠し口座にプールして莫大な資金を内密に用意していたとか。もっともそれを FRB が嗅ぎつけていたというのも立派だけれど。
そうした中国での事態を生んだ背景のひとつには、当時の中国には統一通貨というものがなく、1000 あまりにもなるそれぞれ独自の通貨が使われていたということもあったのだと。そこで「元」を作ることで、日本の「圓」を排除しようとしたらしい。そのため「えん」と発音が似ている「元(いぇん?)」にしたのだとか。
実際財政的にもとうてい戦争など続けられるはずもなかったのに、巧みな錬金術でもって続けてしまったがために、いまだにその借金は残り続けているのだとか。およそ 400 億円あまり。しかも、当時のそうした銀行などはもはや存在しないので、どうするというあてもないまま借金だけは延々引きつがれているとか。
この狡猾さはもっと他のところで生かされるべきだったのかなあ、などと。やはり、錬金術などというのは、夢、幻なのだと思い知るところ。
#少なくとも等価交換ではないな。
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