BYE-BYE SAKYO
あちこちで「え!小松左京が亡くなった!」という文字を目にしたものの、もうすっかりよぼよぼになってしまった姿を見ていると年齢にしては衰えてしまったのだなあと思わざるを得ず。そうした意味ではこういう日も遠からずあるのだろうなと漠然と思っていたのもあって、残念に思うのは確かながらも割と淡々と受け止めていた。
考えてみると著名な作品は知っているのだけれど読んだものはそう多くはなくて、あまりあれこれ語れるような読者ではなかったなと。とはいえ、「果てしなき流れの果に」とか「ゴルディアスの結び目」とか、「さよならジュピター」とか「首都消失」とか、いくつかは読んでいて、特に「果てしなき流れの果に」なんかは印象に強く残っているなあ。いや、内容はすっかり忘れてしまっているのだけれど。あくまでもなんだかすごかったぞという印象が残っているということで。
その名前を日本中にしらしめたともいえる「日本沈没」も結局読んでないのだった。映画は見ていてこれはよかった。もちろん近年リメイクされたわけのわからない駄作のことではなくて、昭和の時代に作られた大量の糊をまいて特殊撮影したというあちらのほう。
同じ映画でも相当の準備と力をいれてハリウッド映画に比類しうる日本 SF 映画を作ろうといって作ったはずの「さよならジュピター」が残念な結果になったのは唯一の汚点なのかもしれない。もちろん評価はひとそれぞれなのでわたしが思うにはというだけなのだけれど。物語はともかくとして、映像は作り物感が激しくて哀しくなるくらいだったから。
日本 SF の黎明期を支えてきた人々が、もうどんどん亡くなっていく時代になったのを思うとさびしさもなくはないけれど、すでに時代はどんどん変わって新しくなっているのだなとも同時に思うわけで。
少しは読み落としていた作品を読まなくてはいけないなあ。
![]() | 日本沈没 上 (小学館文庫 こ 11-1) 小松 左京 小学館 2005-12-06 by G-Tools |
![]() | 果しなき流れの果に (ハルキ文庫) 小松 左京 角川春樹事務所 1997-12 by G-Tools |
早川文庫の頃は映画のカットがさしえに使われていたのだがなあ。
![]() | エスパイ (ハルキ文庫) 小松 左京 角川春樹事務所 1998-03 by G-Tools |
![]() | さよならジュピター〈上〉 (ハルキ文庫) 小松 左京 角川春樹事務所 1999-05 by G-Tools |
なんだか軒並みハルキ文庫になってしまっているのだなあ。早川とか新潮とか角川とか(ま、角川はある意味別)徳間とか、いろいろあったのに。
| 固定リンク
コメント