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「先」

 アクセントのことなのであくまでもわたしの感覚ではということで。時折テレビのアナウンサーの使い方でも、気になることがあるアクセントの違い。それは「先」という言葉。やっかいなことにこの言葉は時間軸で使うときに、過去のことにも未来のことにも使われる。で、そのときにアクセントで使い分けているように感じていたのだけれど、どうも区別がないアナウンサーさんも増えているような気がして。

 具体的には、「先物取引」とか「この先の予定」とかいうのは、時間的に未来のことをさしているわけで、アクセントとしては、平板もしくは後が強まる感じ? 一方で、「先の会談で」とか「先の訪問で」とかいうのは過去にあったことをさしていて、アクセントとしては前が強まる感じ、というように使っていたのだけれど、どうも前者のアクセントだけですべて読む人も多いような印象が。

 もちろんこうしたことは方言とか、地域による違いとかもあるだろうから、一概には言えないにしても、なんとなくそういう使い分けがあるものと感じていたのだけれど、実際どうなのだろう。いや、NHK ならアクセント辞典があるわけだし、指針もあるのだろうし、ということは、「先物取引」も「先の会談」も同じでよいということなのか。

 ただ、「先の会談」を先物取引的に読んでしまうと、時間的に先にある会談のように聞こえてしまうのは、そう思っているからだけなのか。やはり時間的にどちらを向いていることなのかを区別するという意味ではアクセントの使い分けがあってよいのではないかなあとも思うなあ。


続「先」: つらつらぐさ

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コメント

反応します(笑)

まず、アナウンスのことを仰っているので字の話ではないのですが、いじわるなツッコミを入れると、「先の」に頭高はないです。

ま、それは於いて、仰るとおり過ぎたことと「さきの」を使う場合は平板だとおかしいですね。頭高しかありません。

「前関白太政大臣」とか
「左記の例」もそうですね
「埼」を単独で使った場合も

ちなみに、NHKの日本語アクセント辞典には、「左記」しかありませんでした。(85年版・98年版とも)

投稿: | 2011.05.23 20:00

∥過ぎたことと「さきの」を使う場合は

→過ぎたこととして「さきの」を使う場合は

失礼致しました m(_ _)m

投稿: | 2011.05.23 20:02

あ、なるほど。漢字をあててしまうのは違うのですね。

そうそう、左記なんかと同じにしてしまうと、なんだか変なのですよね。民放だとまあいいかとか思ってしまうのですが(^^;、NHK だけについ反応してしまうのですよね。

投稿: ムムリク | 2011.05.23 21:00

通りがかりの者です。かなり時間が経ってからのコメントで申し訳ございません。『新明解日本語アクセント辞典』(三省堂)の初版、第2版の両方とも、未来のことを示す「先」と過去のことを示す「前」(「さき」と読む)を、ブログ主様のおっしゃったように区別して掲げています。あと、『大辞林 第三版』(三省堂)も同様の区別を示しています。

投稿: Salvus | 2014.12.03 01:42

>Salvus さん

各種辞書での例、ありがとうございます。
やはりアクセント辞典などが欲しいところですね。

投稿: ムムリク | 2014.12.03 08:56

テレビなどで「さきの大戦」という言葉がよく聞かれる時期なので、調べていました。
時間軸で前のことを言う「さき」にも後のことを言う「さき」にも、「先」の字を充てていることが、間違いなのだと思います。
やはり過去のことを言う「さき」は、「前」の字で表現するべきでしょう。「前の副将軍水戸光圀公」のように。
おそらく、常用漢字音訓表の「前」の字に「さき」の読みがないことが理由なのでしょうが、過去の「さき」も「先」と書いてしまうのは不適切で、せめて仮名書きにとどめておいてほしいものです。

投稿: 弘前の前 | 2015.08.15 13:17

>弘前の前 さん

そうですね。「前」と「先」のふたつの「さき」をきちんと区別するようにしたいものですね。

投稿: ムムリク | 2015.08.16 20:04

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