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ルークの冒険 カタチのフシギ


4788959097ルークの冒険〜カタチのフシギ〜
三谷宏治
実務教育出版 2011-03-15

by G-Tools

 本が好き!経由で献本していただきました。ありがとうございます。

 子供の学力低下が叫ばれている昨今、しばらく続いていたいわゆる「ゆとり教育」が見直されることともなりました。世界から見たら小さな島国日本には、資源を世界に出せるほどあるわけでもなく、唯一あるとすればそれは人材に他ならないということは、少なくとも言えるのでしょうね。

 その意味で教育にかかる期待や意義はますますもって重要性を増しているのかもしれません。ただ、ゆとり教育からの脱却はよいのですが、またぞろ旧来の知識詰め込み型の教育になってしまったのでは、実のところあまり意味はないのだと思います。広範な知識は確かに必要かと思いますが、知識があるだけではそれを生かすことができないというのも事実で、むしろその「知識を生かす」ということこそ重要なところだと思います。

 それはつまり「どう学ぶか」とか「どう考えるか」といったことで、先の「はやぶさ式思考法」にも通ずるものがありそうです。そして、本書「ルークの冒険 カタチのフシギ」もまたそうした「どう学び、どう考えるか」ということを実践するための一冊であり、有益なひとつの指標を与えてくれるテキストです。

 イワトビペンギンのルークというキャラクターを主人公として、ミタニ教授が少しずつ考え方や進め方のヒントを与えながら、ルークが「カタチ」について理解を深めていく様が実に見事。なぜ、コップの多くは共通するカタチをしているのかを、製造から流通そして実際の使用の場などさまざまなコップの一生を見ながら考えさせる。さらに派生して、ではその理由になるのはなぜなのかと、ひとつ解決するたびにあらたな疑問や理由を探していく。

 正しく比べるという方法についても実践している。ある特徴が必要なのはなぜなのか。それがある場合とない場合とを比べてみようと。ごく単純な、ある意味当たり前のことではあるものの、それでいて実はとても大切なことをきちんと体験しながら学べるしくみがなかなか素敵だ。

 そうしてたどり着いた物語の最後には、なぜ主人公がルークでなければならなかったのかがわかる仕組みにもなっている。

 おわりの部分には保護者向けのメッセージもついている。ぜひ、親も一緒にこの本を読んで、子供がいろいろ調べたり考えたりするさまに寄り添って欲しい。もちろん、親が手を動かすのではなく、子供が手を動かすのを見守って欲しい。そうしてみずからいろいろのことを発見することを見て欲しい。そして、よくできたらやはり褒めて欲しい。そんな親子のつながりを深めてくれるような一冊でもある。

自分で考える・努力する、とはじぃっと考え込むことじゃない。他人を頼らないとは、ひとりで悩んでいることじゃない。

自分で「考える」、というのは、考えに詰まったら、手を動かして、体を動かして、いろいろ調べて、みんなで話し合って、答えまでの道を切り開いていくことだったんだ。
ちゃんと比べること、ちゃんとハカることは、そのためにとっても役に立つ。
もちろん、答えを調べたりは、しない。ボクが解かなきゃいけない「ヒミツ」は、インターネットのどこかに答えが落ちてるような、そんな簡単なものじゃない。
それを解く練習を、ボクは今しているんだ。(P.116-117)

 ここではカタチについて考えていたけれど、それはカタチだけにとどまらず、算数であったり社会科であったり、さまざまな分野に及んでいて、知識は単純なものではないのだとも教えてくれる。

 詰め込みの知識だけでなく、それをきちんと生かすための練習をこうした本を通じてぜひ学んで欲しい。そう思える貴重な一冊。いや、大人にだって十分必要なことですけれどね。



ルークの冒険〜カタチのフシギ〜
  • 三谷宏治
  • 実務教育出版
  • 1365円
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書評

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