ブドリのカルボナード島
NHK 「歴史秘話ヒストリア」で宮沢賢治をとりあげたのはいつだったろう。昨年?一昨年? 季節は今頃だったか、もう少し前だったか。うーむ。
まあ、それがいつだったかはよいのだけれど、そこで取り上げられていたのが「グスコーブドリの伝記」。ブドリという少年が親を失い、妹も連れ去られ、仕事を転々としつつたどりついたのが、気象を観測する施設。異常気象によって農作物が育たなくなっていて、あの火山を爆発させれば気候が変わって暖かくなる、と決死の作戦を敢行することになるのだけれど、その爆破の役目をブドリが引き受ける、という話。
番組内であらすじをやってくれたのだけれど、それだけ見ていたら、一年ほどの間の話か数年程度なんだと思っていた。ところが、実際読んでみると壮大な年月を経ているのだった。
- てぐす工場(1年)
- 沼ばたけ(6年)
- サンムトリ火山(2年)
- 潮汐発電所(4年) [肥料を降らす]
- カルボナード島(5年)
最後のほうで生き別れた妹と再会するのだけれど、お互いすっかり大人になってしまっているのも頷ける。
で、なぜこんなことを思い出したかというと(いや、そもそも書いておこうと思っていて忘れていたのもあるのだけれど)、今回の福島原発で海水注入をするというのがある意味決死行な部分を含んでいるよなあと思ったもので。現場の方々の努力が報われて、無事におさまることを願っています。(この機に乗じて叩こうとするのはちょっと違うと思う)
![]() | 宮沢賢治全集〈8〉注文の多い料理店・オツベルと象・グスコーブドリの伝記ほか (ちくま文庫) 宮沢 賢治 筑摩書房 1986-01 by G-Tools |
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コメント
この物語、知りませんでした。
本は今手元にないので、蒼空文庫で内容を見てきました。
takoさんにお願いできたらいいな (謎のつぶやき)
投稿: 涼 | 2011.03.14 19:45
わたしも当該番組見るまでは知らなかったのですが(持っていたのに)、ちょっと切ない冒険譚でもあり、自然への警鐘を与えるような印象もありますね。
「ペンネンネンネンネンネネムの伝記」とも関係のある物語のようです。
#この文庫全集もぼちぼち読んでいるところ。
投稿: ムムリク | 2011.03.14 20:18
>ムムリクさん
>「ペンネンネンネンネンネネムの伝記」とも関係のある物語のようです。
「グスコーブドリの伝記」のもとになった物語です。
一部原稿が紛失したりしていて、主人公が怪物だったり、多少違う部分も
ありますが、おおよそ似た展開のお話になっています。
わたしは、こちらの方がより生き生きとした話で面白かったです。
投稿: 黒豆 | 2011.03.15 09:55
あ、なるほど、元になったほうでしたか。ペンネン技師がでてくるのですよね。
ペンネンのほうは読んだのが遥か昔で、すっかり忘れています。再読してみよう。
投稿: ムムリク | 2011.03.15 11:23